長い間一緒にいると情が沸くものだ。
その感情が何という名前をつけるべきものかはわからなかったが。

彼は色々と教えてくれたし、彼と一緒にいる時間は嫌いではなかった。
彼は、私の話を聞いてくれて、会話をしてくれたから。
デイダラから言わせてみればそれは普通のことだそうだが。

けれど、彼は私に戦う術を、生き抜く知恵を教えてくれた。
彼は私にとってはじめて、真っ直ぐと向き合ってくれた人だ。
だから、私は彼を大切に思っている。思っているはずだ。きっと。

体温のない時間の止まった自分の世界に籠っている彼のことが。

人の顔を窺う癖がどこかでついたのか、人をじっと見てしまうようになった。
それを欠点と感じなかったのは、それが戦闘において力を発揮するようになったからだろう。
人の真似事をしたり、単純な怪力で場をくぐり抜けてきたからだ。
人の死体には、もう何も感じなくなっていた。

ああ、そうだ。だから、彼の死体を、抜けがらを見たときも、何も感じなかったのだ。
後から後から寂しさがどっと押し寄せて涙の一つくらい見せてやれば良かったと思ったのに。

デイダラと出会うことになるのは私が暁に慣れて随分経ってからのことだ。
年が近いからか、男女の性からか、近い位置にいるからか、彼は私に好意を寄せてきた。
彼が好意を寄せる相手は決して私でなければいけないことはなかっただろう。
それは少し、寂しい気がした。
彼の好意に応えることはついぞなかったが、だらだらと、ずるずると、一緒にいた。

彼らが、彼らだけが、私の人生の中で大切な人だ。