※現パロ

寒くなってきた。
寒くなると人の体温が恋しくなるのは何故だろうか。寒いからか。そうか。

会いたい、となんとなく彼に送ると俺も、と返事が来ていそいそと着替えるあたり私は相当入れ込んでいるらしい。
五分でいい。顔がみたい。一言でいい。声が聞きたい。

車で来たらしい彼はいつになく眉を寄せて疲れたような顔をしていた。いつも飄々と人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべている彼には似合わない顔だ。
だが、私をみるとその表情も少しばかりやわらいだ。彼も相当私が好きらしい。
というのはさておき、折角見つけた彼に声をかけずにコンビニへとむかう。
後ろに感じる視線もさておいて、目当てのものを買うとようやく彼の傍へと寄った。

「剃刀をプレゼントするので髭を剃ってください」
「開口一番がそれか。本当にお前は可愛くねぇな」

私からコンビニの袋を受け取った彼はううむ?と首を傾げたかと思えばコンビニへと足を運んだ。
何を買いにいったのか。もしかしたらいつも使ってる剃刀か。そこまでこだわるか。おっさんめ。
なんて考えているとコンビニのトイレででも剃ったのかつるんとした顎を携えて彼は戻ってくる。
顔だけはいいんだから。こうやって整えるのが一番だ、とうんうんと一人で頷いていると彼はコンビニの袋を私に差し出す。
受け取るとお菓子が入ってた。あまり、菓子の類は好きではないのだが彼からもらったのだから大切に、大切に、しようと、思った。
本当に、相当、彼が好きらしい。気持ち悪いくらいに。

「食えよ。で、俺にもよこせ」
既にこの袋の中身の所有権は確かに私にあるはずだが選択肢は与えられないらしい。

「…甘い」「甘い」「残りはやろう」「じゃん」「けん」「ぽん」「…残りはお前にやろう」「大人げないですよ」「そんなもん売ってきたわ」「買ってきたからあげます」「お前の差し出してるのはさっき俺が買った菓子だろうが」

いつまでもこうしていたいね!