昔の話をしよう。 私が幼い頃の話だ。 理由を知る術はもうないが私は両親から暴力を受けていた。 それを見かねた兄が両親を殺害という形で終わらせた。 それから兄は私を連れて故郷を捨て、犯罪者となった。 その内に暁に勧誘されてしばらく私と兄はそこで生活をした。 そして理由を知る術はもうないが兄はある日突然私を殺そうとする。 その時何が何だかわからないし覚えていないし思い出す必要性も感じないが私が兄を殺した。 そして、その時、否、今でもだが、私は兄の名前すら知らないのだ! しばらくして私はコンビを組まされることになる。 一回り以上年上のすらっとした背の高い男だった。 コンビというよりは教育係のような形で彼と一緒にいた。 彼は余裕がある時だけちょっとしたことを教えてくれたが大半は自室にこもっていた。 自室で毒や薬の調合に時間の多くを費やしている人だった。 時折リーダーから任務を請け負っていたが私は邪魔だからと置いていかれていた。 コンビの意味すらわかっていなかった私は特に何も感じてはいなかったが。 そして理由を知る術はもうないが彼は私を痛めつけはじめた。 最初は暴言や暴力といった形だったが日を追って激しくなり、私を毒の実験体だと注射されるようになる。 内臓が焼かれるような苦痛に涙して歪んだ視界の中で彼がいい気味だと笑っていたのは覚えている。 ある日、再び彼が任務を請け負った。 リーダーは彼が一人で行動するのをよくは思っておらず、きちんと二人で動けと注意をした。 余計なことを、と思ったのは私だけではないだろうかとにかくその任務は二人で行くことになった。 その日何があったかは覚えていないがそれからしばらく彼は私に何もしなくなった。 体の調子が戻って一番に何かの隙を見て彼を殺した。 恨み事を言っていた気もするがとにかく名前も知らない彼は死んだ。 そして、私はサソリさんと出会う。 それから、彼とは長い付き合いになっていくわけだ。 |