私達の世代は、一年二年でアカデミーを卒業するのが珍しいことではなかった。 一年は流石に短いし、それなりに注目されるのだが、その中でも彼は本当に特別だった。 男女共に何人かが卒業試験を受けた。 自分の得意な術を一つ、という試験の内容は簡単でさっさと下忍候補を出したいのだと感じられた。 私の番になると、くの一学級の担任だった先生が得意気な顔をした。 私が先生の自慢の生徒であるのだと感じるとちょっと、嬉しかった。 「火遁、業火球の術」 ぼぼぼ、と火があたりに広がった。 わっと沸き上がる歓声を耳にする。 「素晴らしいでしょう!あの子は普段から何でも身につけるのが早くて、」 嬉々として話し出す先生をさらっと受け流しながら試験管の先生は私に笑顔を見せた。 お疲れ様、すごいね、合格だよ、と。 そんな言葉で片づけられるのは何となく寂しいが、誉められたのは嬉しかった。 ふふん、どうだ、というような気持ちで胸を張りながら先生の前から離れる。 私の次の子はあの名家の子だった。うちはイタチ。 先生だとか、上級生がきゃーきゃー騒いでたのは知ってる。 確かにかっこいい、と思った。 彼が試験で披露したのは私と同じ術だった。 私より何倍も、何倍もすごかった。 歓声も大きく騒がしく、響いた。 当然ながら合格を告げられた彼は私をちらっとみると笑った。 私もへらっと笑うと彼に手を振る。 「レナ!やめなさい!なんていやらしいの!あの子、貴方を馬鹿にしてるのよ!」 先生にそういわれて、私は彼が私を見て笑ったのは嘲笑だったのだと気付いた。 でも、そんなに悪い子じゃないと思うなぁ。かっこいいし。 なんて感想を抱いて卒業試験は終わった。 その後、私は無事に下忍になり、うちはイタチと同じ班になった。 それがはじまり。 |