||| plus alpha サソリさんと喧嘩する 「もう知りません。話しかけないで」 珍しく彼女の辛辣な言葉は自分の相方に向けられていた。 二人が喧嘩するなんて。珍しいなぁ。いや、はじめてか? なんて自分が考える合間にも、相方が彼女を呼び、彼女からは冷たい言葉が飛び出す、というやりとりが広げられていた。 とりつく島もなく、しんしんと冷たい彼女はさっと背を向けるとその場から去ろうとしていた。 「デイダラ」 ふう、とため息をついたかと思えば彼女ともめていた男がこちらを向いた。 おいおい、追いかけなくていいのかよ。あいつ、拗ねると面倒だぜ、の言葉を飲み込み彼と向き直る。 この状況で自分に何の話だろうか。 「…あいつの、小さいころの話なんだがな」 突如ふれられた話題。 背後で歩き始めていた彼女の動きが止まる。 「雷の時に「サソリさんやめてください」とられるって泣き出して「サソリさん」それからしばらく「サソリさんってば!」後はあいつ小さいころ「ごめんなさい!」すげぇ漏らしてて「ごめんなさいってば!」大変だから「ごめんなさい!って!」つったら角都に「言ってるのに!」リスが「サーソーリーさーんー!」薬がないかって「私が悪かったです!」…………何割?」 「……は、八割…」 「…で、だな、洗濯物が「十割!」まぁ、しばらくは「十割!私が全面的に悪かったです!サソリさんには少しも責任ありません!」………だな」 はぁはぁとこれまた珍しく息をあらげた彼女はこちらをきっと見上げる。 「…聞いた?」 「いや、全然。うるさくて聞こえなかったぜ、うん」 「…そう」 ならいいの、と息をつく彼女に途切れ途切れで全く内容をつかめなかった旦那の話を思い出す。 「でも、昔すげぇお漏らししてたんだってな」 ははは、と笑うのと同時に殴られたのはちょっと、痛かった。 サソリさんと喧嘩しない理由 勝てないから どんなに理不尽でも勝てないから! Dec 30, 2014 20:24 browser-back please. |