ハリ男 | ナノ

おかしいな?とは思ってたよ。けど、気のせいなんじゃないかなって思おうとした。だって、某児童文学の主人公になってました、とか誰が信じられる?そもそもだよ、あの物語って児童文学にしては物騒って言うか、人バンバン死んじゃうじゃん?そんな危険な世界の最前線にならなくちゃいけないとか…。…現実逃避だってしたくなっちゃうと思わない?

まぁ、両親がジェームズ・ポッターとリリー・ポッターで叔父さん叔母さんがバーノン・ダーズリーとペチュニア・ダーズリー、更に従兄弟がダドリー・ダーズリーの時点でいろいろ諦めたんですけど。
何で俺が。そう思ったけど、考えたって答え出ないし、ってかそもそも何で俺に某児童文学の知識があるのかもわかんないし、あれ、そういえば俺って何で子供になってるの?俺って確か成人してたような…?あれ、思い出せねえ?と何だか踏み込んではいけないところまでいってしまったような気がしたので、結局そのまま眠りの世界へと逃げました、まる。睡眠最高。俺の至福のときです。ベッドは恋人。

さて、話はずれましたが、そんなこんなで原作でのイベントを多少原作とは違うけどこなしていった俺は今、ボロ屋敷?小屋?に居ます。
バーノン叔父さん、ちょっとヒステリすぎると思います。いくらあの手紙攻撃が人をおちょくってるみたいでイライラしたとしてもここまで逃げてくるって相当ですよ。ってか、このボロ小屋、どっから借りてきたんだろう。まさか持ち物という訳ではあるまい。
…別にいいけど。どこでも寝れるのは俺の特技。ダドリーと違って床で寝ろとか言われたけど、この硬さがいつも寝てるところとは違ってなんだか新鮮。これはこれで眠気を誘う。うん、お休みなさーい。

お休み三秒。の○太くんも真っ青な寝つきのよさ。

バターン、ガターン!
嵐が来てるのか扉がガタガタうるさいけど、無視。
何か水滴が顔に当たって、風が頬を撫でてる気がするけど、無視。
「ハリー!?ハリー!大丈夫か!?」などとでかい声が俺の名前を連呼しながら肩をゆっさゆっさしてるけど、無し…

――ゴツン!

「いった!」

涙目で目を覚ますと、拳を握った叔父さんが居ました。何事?と首を傾げる俺に構わず目の前の会話は繰り広げられる。

「おいコラ、ダーズリー!お前さん、ハリーに何しとるんだ!?」
「うるさい、黙れ木偶の棒!コイツはこれくらいせんと起きんのだ!ハリー、お前が寝てると話がややこしくなるから起きとれ、馬鹿者が!」
「?…はーい?」

未だじんじん痛む頭を撫でながら、ダドリーに「どういうこと?」と視線で問い掛ける。ダドリーは叔母さんに抱かれながらも視線で「知らん。ただそのデカイのが寝てるお前を見て虐待だなんだって騒ぐから」と返された。そっかそっか。ぐっすり寝て揺り起こしても反応を返さない俺に、ハグリッドはきっと焦ったのだろう。で、いらぬ言いがかりをつけられた叔父さんは俺が無事なことを示すために俺を起こした、と。…ってか、何気に俺とダドリーの以心伝心っぷりやばくね?今のアイコンタクトだけだよ?普通伝わらないよね。ダドリーに感動の視線を送ると、口パクで「き、も、い」と返されました。何それヒドイ。

「ハリー!お前は立派な魔法使いになるぞ!」
「え?あ、はい、どうも」

一人心の中でシクシクと涙を流していると、突然ハグリッドに声を掛けられた。びっくりしすぎて適当に返してしまったが、それにバーノン叔父さんが反応する。

「何を言っている!ハリーは全寮制の学校に行かせるんだ!今はちょっとおかしいが、そこに行けばきっとまともな人間になれる!」
「おかしいだと!?偉大な魔法使いの子供に向かって、なんだその言いようは!?」

おっつー。ぼうっとしてる間にどんどん二人がヒートアップしてくよー。もはや俺の声も聞こえていないんじゃないだろうか?案外、この二人って似た者同士だったりする?
二人の言い争いについていけず、呆然と二人の応酬を見守るしかなかった俺はふと思った。

俺、この会話にいらなくね?

俺いなくても話は進んでいきそうだし。なんだ、そういうことなら早く言ってくれよ。俺はさっきまで見てた夢の続きを見ることにするよ。
タオルケットの中に潜り込み、さて寝ようと目を閉じた瞬間。

「「寝るな!」」


………やっぱり、二人って実は気が合うんじゃない?

(何かよくわからないけど、俺はホグワーツに行くことになったらしい)


120902


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