壁の上で外界に足を放り出してミケと2人で星を探す。

「風が涼しくて気持ちがいいね」
「あぁ、雨が降るかもな」
「匂う?」
「まあ、それに気象条件だな。」
「流石だね」
「必要な知識だろ。」
「ミケは鼻があれば必要ないと思うけど?」
「はは。鼻は敏感過ぎるからな、知識と裏付けがないと使えん。」
「あー…、意地悪言っても素で返されちゃうとからかい甲斐がないなぁ。ふふふっ、私もみんなも鼻がなくてもミケのそう言う実直なとことか信頼してるよ。」
「そうか」

湿り気を帯びた風が頬を撫で髪を揺らす。横に座っていたミケの目か遠く遠くを睨むように細めているから同じ先を見てみたけど荒野と暗い夜空が広がるだけ。私とミケは見ているものが同じでも決定的に見ようとしてるものが違うのではないのか?そう思うと焦りにも似た何かがせり上がってきて、心臓が早くなる。

ミケの大きな手に自分の手を重ねる。

「そんなに目を凝らしても無い物は見えないよ」
「ふっ。…せっかく星を見に来たんだ、一つでも見つけんと癪に障るだろう。」
「あ、そう…」
「なんだ。もう飽きたのか」
「そうじゃないけど、そうかな。見えない星に興味は湧かなくて」
「そうか…。じゃあ、晴れた日にまた来るぞ」

ミケはふっと鼻で笑い、次の約束をして壁を後にする。

祈る星が見えない夜は不安なのだと、初めて知った夜だった。

永遠を祈るわけじゃない



130708





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -