さよならくらい

言わせてよ

ミケが帰ってこなくなってしばらくしてから私はミケの為に小さいお墓を建てました。

ただ残念ながら彼の骨は此処にはありません。からっぽのお墓です。

でもそれを知った人たちがたまに彼に祈りを捧げにきてくれます。

沢山の人がミケの弔いにきてくれるのが嬉しかった。質素で小さいお墓はきれいな明るい色をしたお花でいっぱいでお花畑みたいで悲しみは少しだけ暖かな気持ちになった。ミケが好きだった苦いお酒をみんな持ってきた時は結局お墓の前で宴会をした。

ひとしきりミケの思い出話をして笑っていたら、ふっと、話がとぎれて「お前はミケに大事にされていたよ」と静かにゆっくりエルヴィンが言った。なんだかミケの遺言みたいだった。私は堰を切ったように泣き出して、うんうんと頷くことしか出来なかった。ミケが死んでからちゃんと泣いたのは初めてかもしれない。落ち着くまで誰も言葉を発しなかった。ハンジとナナバが私に身をよせて肩や背中をぽん、ぽんと優しく打ってくれた。その手の暖かさとか重みとか雰囲気は一生忘れない。


エルヴィンとはたまにミケの思い出話をして笑った。
リヴァイはびっくりするくらい不器用に慰めてくれた。
ハンジとナナバは心配してちょくちょく口実を付けて会いに来てくれる。

ミケの残してくれたものが形になって今私を慰めてくれる。

ありがとうミケ。

あなたに会えて幸せだよ。

好きとか愛してるとかありがとうとか生前沢山伝えた。後悔しないように、全部伝えていた。

でも

あなたを見てさよならが言えなかった。
せめて、骨の一欠片でもあれば、誰かが看取っていればよかったのに。一人で死んでしまった彼を想うと悲しくて息ができないくらい辛かった。



さよならくらいわせてよ

覚悟はしてたけど世界は思った以上に残酷だ

20121209
- - - - - - - - - -

ミケお疲れさまでした。

これからどうなるか分からないけどみんなで弔う世界があってもいいかなと思います。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -