カーテンの隙間から朝日が差し込み、僕は目が覚めた
真っ先に思い出したのは、カレンダーの今日の日付に書いて、大きな赤マルで、囲った【柳とデート】の、文字。
着替えながら鏡の中で昨日切った前髪を確認する。
「どうしたんだ?」って、少しでも、一秒でも長く…柳に見て欲しくて。
ちょっとだけおめかしして
淡いピンクのTシャツに、黒いベストと白いパンツを合わせて、この前のデートで柳に買って貰った、皮の紐に綺麗な細工の施された指輪を通したネックレスを首に掛けて家を出た。
今日の格好は満点だ。
君と居るだけで溶けそう。
目を合わせるだけでドキッとするし楽しいんだ。
「不二、…迎えに来た。」
家を出れば柳がいて水族館に行った後、ショッピングした。
だけど…
ザアアアアア…!
天気予報の嘘つき。 土砂降りの雨が急遽デートの終わりを告げる。
…折角神奈川に来たのに。
「不二、電車が無くなると大変だから駅まで急ごう」
柳の気遣いは嬉しいけど…憂鬱で溜め息をつく。
「…柳。僕、傘持って来てないんだけど…。」 「………………………。」
黙り込んだ柳は鞄の中から折り畳み傘を出す。
「コレを使え…不二。」
本当は鞄の底に折り畳み傘は入ってるんだけど…。
「………ふ。今のは見なかった事にしてくれ。…生憎傘は一本だけだ。仕方ないから入れ。」
僕の表情を読んで行動してくれる柳に、さらに恋へと落ちる音がした。
どうしよう。 息詰まりそう。 笑って僕に触れてくれる、その左手にへと僕の心音が聴こえてしまいそう。
半分にした傘のせいでか、手を伸ばせば届く距離。
どうしよう、どうしよう。
お願い。時間よ、止まれ!
嬉しいけど死にそう。
あ…そうこうしている内に駅に着いちゃう…。
暫くは部活もあるし、2人では逢えないだろう。
近くて遠い。
別れ際、柳が買ってくれたネックレスを触りながら、柳が言った。
「…今日の格好はなかなか可愛かったぞ。前髪も切り揃えたんだな?また今度、近い内逢おう。どうだ?」
それだけで舞い上がる僕のなんて浅はかなこと。
今すぐ僕を抱き締めて…!
……………………なんてね
後書き。
ボカロのメルト、という歌から創りました!
宇佐見様に捧げます。 柳不二書いてみました。
宜しかったらどうぞ! 20000ヒット、おめでとう ございます! (*´∇`*) |
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