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仁科がんーんー唸りながら俺に頭を押しつけてくる。
ガキっぽいことしてるくせに下半身はそうじゃないんだから、コイツはマジでアホだ。

「もぉ部屋に戻るの無理ー。ここでしちゃおっか?」
「いやいや何言ってんの!?しちゃおっか、じゃねーよ!」
「だってどんだけ志賀ちゃんのお預け食らってると思ってんの」

はい、天下のヤリチン様に対してそれはそれは大変申し訳なく……ってそうじゃねえ。色々問題ありすぎだ!場所的に!

「生徒会室!人来るだろーが!」
「もうみんな帰っちゃったよ?誰かさんが遅いからぁ」
「うぐっ」

そこを突かれると非常に痛い。
つーかすでに仁科の手がシャツの裾から入ってきてるし。ぎゅうぎゅうに抱きしめられて感じる体温や、久々に思いっきり嗅いだ甘い香水の匂いに、俺もなんかゾクゾクしちゃってるし。
記憶って怖い。パブロフの犬よろしくちょっと触れただけで体が反応しちゃうんだからな。
耳元で仁科が小さく笑う。

「……そっちだって、もうその気じゃない?」
「しょ、しょーがねーじゃん」
「てゆーかぁ、昨日夜更かしでもしたの?目にクマできてるよ」

そう言いながら上向かされて、そのついでみたいにキス。隈だらけっぽい目元にもキス。

「ん、DVD見てて……」
「そのDVD、俺の部屋に持ってきてよ。一緒に見ればいーでしょぉ」
「それ、絶対に見られないだろ」

ふふ、と仁科の吐息のような笑い声が頬にかかる。
あ、ヤバい。俺もう絶対スイッチ入っちゃってるわ。だって、そのほんのちょっとの刺激ですげーキた。

「ほんと、かわいい」

ちゅ、と俺の額に仁科の赤い唇が触れる。それだけじゃなくて軽く吸われた。
おいコラそんなところにキスマとか勘弁してください。油性マジックの落書きより恥ずかしい罰ゲームだぞ。
顔をしかめたら今度はちゃんと唇に唇が重なった。何度かついばんでるとするりと舌が絡む。
熱く濡れた舌は柔らかくて極上だ。それを夢中で追いかけてたら、だんだん息切れしてきた。

「あ……うわっ、仁科……!」

体の力が抜けてきた頃合を見計らったように、デスクに上半身を押さえつけられた。
実はそういう強引っぽいのに結構興奮するんだが、言うとコイツは調子に乗りそうだから絶対言わない。

覆いかぶさってきた仁科がまた俺にキスをする。
俺もすっかりエロスイッチ入っちゃってるからもう止められない。性欲旺盛なお年頃なんだから許せ。誰かに見られたらそのときだ。

キスをしながら仁科の手が俺のシャツのボタンをはずしていく。
お返しに、仁科のネクタイを緩めた。もともと緩んでるからすぐに解けたそれ。
襟から零れ出たシルバーのネックレスが不意に指に絡む。仁科の体温で温まったアクセを指先で弄んだ。

「……そーゆーのは一体どこで覚えるのかな」
「は?」
「志賀ちゃんのさぁ、その変なとこで余裕っぽいとこ、ちょー俺のツボ」

そう言って垂れた瞳を細める仁科。そうすると綺麗な三日月型になるのが何度見ても不思議だ。人を惹きつける笑顔の見本がここにある。
ゆるくウェーブのかかった前髪をかき上げてその顔を正面から見つめた。そうしたら仁科がちょっと照れ臭そうにしながら首を傾げた。

「あんま、そんなにまっすぐ見ないでよ」

あっ、と思ったときには体が反転していた。焼き魚でもひっくり返すみたいな感じでクルッと。
デスクの上にうつぶせになってからはもう早かった。さすが百戦錬磨の仁科様。

「おわっ……、あっ!」

思わず変な声出た。ベルトのバックルが外されたと思った瞬間、ズボンの中に仁科の手が入ったからだ。
パンツ越しに下から上へと俺のチンコに指が這う。
その触り方がめちゃくちゃ絶妙。焦らすようでいてちゃんと快感も与えてくれる。
でも本音を言えば直に擦ってほしいし、そういう焦らしプレイはいらない。じっくり感じさせられるみたいなの、すっげー恥ずかしいから。

「ぁ、あ、仁科……」
「ん?もぉギブ?」

素直に頷くと、背後から喉で笑う声がした。膝まで下が脱がされて搾り取るように擦られる。

「う、あっ、んんっ」
「志賀ちゃん、超えっちな声出てるー」
「だっ、て、も、お前、それ、イイ……からっ」

先走りで濡れてるチンコがくちゅくちゅ卑猥な音を立てて擦られる。
手コキが気持ち良くて仁科の動きに集中していたら、シャツが剥ぐように半端に脱がされた。
外気で鳥肌立った背中に仁科の熱い唇が這う。それは時々止まって、痛いくらいに吸われた。
ひとつひとつ確かめるように丁寧にキスマークを付けられてるのが伝わってくる。痕がついたその箇所がじんと痺れた。

……そういうの、付けるの好きじゃないくせに。
お前が他人に自分の痕跡を残すのが嫌いなの、知ってんだよ――。


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