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セックス後、イチャついてたらまたムラムラしてきちゃったんで続けて二回目になだれ込んだ。
一回出して余裕できたから紘人の服を全部脱がせて、改めて裸で。
家でするのも好きだけど、今夜のこの雰囲気はまた別格だ。

たっぷりやりまくって満足したときには酔いはもうすっかり醒めてた。
あとに残ったけだるい疲労感が心地いい。

そのあと汗流しにシャワー浴びに行ったら、ガラス張りの浴室だったんでそこでまた妙に興奮した。
スタイリッシュデザインなのかエロ仕様なのか紙一重で悩む造りだ。
一緒にいるのが恋人だから俺にはエロ仕様にしか見えないけど。

汚れを流してさっぱりしたあとは、未使用のもうひとつのほうのベッドに二人並んで寝そべった。
備え付けのナイトウェアは丈の長いチュニック型で、それを着た紘人がまたエロかった。なんていうか彼シャツみたいになってる。や、俺も同じやつ着てますが。
いやぁ、何から何までお泊まり最高!

「――つーか珍しいよね」
「何がだ?」
「朝帰りしよーとは言ったけどさ、まさかほんとにホテルに泊まるとは思わなかった」

ベッドの上でじゃれあいながら、ピロートークの延長で軽く言ってみた。
すると紘人が『心外』って顔をした。

「きみが言ったんじゃないか。一緒に住んでると刺激が薄れるから、たまには普段と違うことをしたほうがいいって」
「あ、それでなんだ?」

紘人なりに俺の考えに沿って実践してくれたんだ。
それにしてもさすが紘人というか、惜しむことなくホテルの部屋を取ってくれるあたり、かっこよくて惚れる。
厚意のお礼のつもりでチュッとキスをしたら、紘人がぽつりとつぶやいた。

「……それだけってわけでもないが」
「え?」

ちょっとはにかんだ紘人は、言いにくそうに口を開いた。

「今日、本城さんと四辻さんと話をしただろ」
「あー、うん?」
「彼らがあんなにも堂々と、お互いに誇りを持って好き合っているのを見ていたら……その、なんというか……」
「当てられちゃった的な?」

俺が言葉を継ぐと紘人は小さく頷いた。
たしかに、オープンな同性カップルとあんな風に話す機会って今までなかったもんな。
あれだけ潔くノロケまくりのラブラブを見せつけられて、紘人もその熱に触発されて俺とイチャイチャしたくなったらしい。
そっかそっか。なるほどね、わかりやすくて可愛い!

「あっ、ていうか紘人。そーいえば帰り際にユキさんと何か話してなかった?」

気になってたことをさりげなく聞くと、紘人は途端に目を泳がせた。
なにその反応。なんかまずいこと聞いちゃった?

「べ、別に、たいしたことは話してない」
「えー?そんな言い方されたらめちゃくちゃ気になるんですけど」

紘人の肩を突っついて答えをねだる。そしたら渋々って感じで喋りはじめた。

「いや、その……四辻さんが……」
「が?」
「『透くんは可愛いだろ』って話しかけてきて、それから……『彼ほど将来有望な男は他にいないから、くれぐれも逃さないように』って言って……あの、本当にただそれだけだ」

マジか。ユキさんの俺に対する過大評価が謎すぎる。
でも内容は紘人への激励?発破?らしいから、それで二人の間に流れる空気が和やかだったわけね。

「で?紘人はユキさんになんて返したの?」
「もちろんそのつもりですって、つい……。いや、酔ってたせいで言い過ぎたのは分かってる。四辻さんにも笑われた」
「…………」
「実のところ、きみを褒められたのが嬉しくて、それで共感のつもりで――」

言い終わらないうちに俺は起き上がって、覆い被さるようにして紘人に抱きついた。
ぎゅーっと両腕で締め付ける。紘人が驚いた声を上げたけど気にしなかった。

やっばい、すげー嬉しい!
紘人はあんまり頻繁に好きって言わないかわりに、たまにこうやって爆弾級に破壊力あることを言ってくれる。
その自覚が本人にあるかどうかは分からないけど。

「あー好き!紘人めっちゃ好き!」
「ぼ、僕も、きみが」

好き、と続くはずの唇を待ちきれずにぴったり塞いだ。
明日は早く起きてデートしたい。今度こそ二人っきりで飲みに行くのもいいなぁ。でも、家でのんびりするのも捨てがたい。
何をするにしてもどこに行くのも、紘人と一緒なら俺はそれだけで幸せ。


end.


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