あの日、俺は太陽に出逢った


※虐待や殺人などの表現あり。








「ひなたしょーよーなの。よろしくね!」


ーーそう言って太陽みたいに明るく笑う君に俺は救われたんだ。













 俺の血の繋がった父親と母親ーーそう呼ぶのも吐き気がするーーは、所詮世間でいう碌でもない親だった。

 父親は大して仕事にも就かず、昼間っから酒を飲み、女と遊び、パチンコやら競馬やらに明け暮れ、機嫌が悪いと俺に暴力を振るった。

 母親もまた俺の面倒なんて見ず、男を家に連れて来ては寝室に篭り、その男たちにブランドのバッグを始め色んなものを貢がせていた。







 そんなある日。
 たまたまその日、珍しく揃って自宅にいた両親は、俺の目の前で、嫉妬に狂った母の男の一人に刃物で刺され、殺された。

 男は、その後、俺の家中にガソリンを撒き散らすとライターで火をつけ、俺の家を全焼させた。
 
 奇跡的に助かった俺だが、もともと両親の親戚とはすでに縁を切られ、誰も俺を引き取る人間はいなかった。

 行き着いた先は、児童養護施設だった。
 
 身寄りのない子、だなんて施設にいる奴等全員に当てはまることだったが、当時幼かった俺は、両親からの虐待と目の前で人が殺されたショックから完全に心を閉ざしていた。

 施設の大人は何度も俺に話しかけてきたが俺は口を開くことはなく、新入りの俺を歓迎しようとした施設の子供が話しかけてきても返事をせず、次第に施設の中で俺は浮いていった。



 そんなある日、施設に新しくやってきたのがひなだった。



 何を思ったかのか、ひなは、一人でいる俺に臆することなく、笑顔で声をかけてきた。

 あの時、確かに俺の目には、ひながキラキラと輝いて見えた。

 それから毎日、ひなは俺に近寄ってきては、俺の隣に座り、寄り添った。
 例え俺が一言も喋らなくてもーー。
 それはまるで、ただ寄り添い俺の闇を照らす眩い太陽のように。



 いつしかひなが隣にいるのが当たり前になっていた。



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