バレネタから始まる恋物語 後日談
ナルトの秘密がみんなに知られて、もちろんショックを受けたりと色々な感情が各々を駆け巡ったのだが、その後のサスケの行動にも衝撃が走った。
あれ以来、サスケは所構わずナルトを口説くようになった。今までとの態度と真逆なサスケにドン引きしつつ、同期たちはあまりの事にナルトへ同情の眼差しを向けるようになった。
「うぅう……ザズゲぐーん」
サスケのことが好きなサクラといのに限っては、「クールでカッコ良かったサスケくん」の変貌を受け切れずに毎夜魘されていた。
朝早く任務のために集まったナルトとサクラ。この間の一件以来、まだどこかぎこちなさがあった。
そこへサスケがやってくる。
いち早くサスケに気付いたサクラはこれから起こることが嫌でも分かってしまい顔を引きつらせた。
サスケは真っ先にナルトの側へ行くとサクラを無視してナルトに挨拶する。
「おはようナルト。今日もお前は可愛いな」
自分のことが見えていないサスケにサクラはガックリと肩を落とす。
「なっ!?」
ナルトはあの日以来、急に態度が今までと変わったーー正確には本性を露わにしたーーサスケに戸惑い気味。
「ふ、照れるお前も可愛いな」
頬を染めてプイッと横を向くナルトに目を細めると、サスケはナルトの髪を優しく梳いた。
「!?!?!?」
いきなり髪に触られギョッとするナルトだが、嫌悪感や不快感は不思議となくて振り払えなかった。
「…………はあ」
そんな二人のやり取りにサクラは諦めたようにため息をつき、お願いだから早くカカシ先生来て、と彼らを横目にただ祈った。
「遅くなってご、め……ん……」
いつものごとく遅れてやってきたカカシは、最近では当たり前になってきた目の前の様子に言葉を詰まらせる。
「カカシ先生っ! 遅いっ!」
そこへサクラが怒ったような安堵したような表情でカカシに駆け寄る。
「悪かったサクラ」
彼らの被害者仲間としてサクラの心境を思い、申し訳なさそうにサクラに心の底から謝る。
「もう、私一人に押し付けないで下さいよ」
カカシは、文句を言うイライラしたサクラの頭にポンと手を置くと、ナルトとサスケに視線を向けた。
「ナルト」
「サ、サスケどこに手、入れてっ……ひゃっ……や、やめっ」
なんとサスケが背後からナルトに抱きつき、抵抗するナルトの身体をニヤけながら触っていた。
まるで若い女にセクハラするオヤジみたいだとカカシは空笑い。
必死なナルトとニヤつくサスケの攻防に、カカシはふうっとため息をつくと二人に近づいた。
「サスケ、何してるのかな」
カカシは呆れたように楽しそうにナルトの身体を触っているサスケを咎める。
「ちっ」
チラリとカカシを一瞥すると舌打ちしたサスケは、しぶしぶナルトの服の中にひそませた手を戻す。
「カカシ先生……」
ナルトは助かったと緊張を緩ませ、ホッと胸をなでおろした。
そう、サスケの変貌は日常にも影響していたのだ。
特に同じ班であるサクラやカカシは、目の前で繰り広げられる甘い空気に当てられ、その度に精神力がことごとく削られていった。
そしてナルトはというと、誰かから好意を向けられることは初めてで、サスケからの愛情表現に一人戸惑っていた。
実際サスケが何がする度にナルトは動揺し、恥じらいを見せた。
一方サスケは、実は大人びていたと知ったナルトの見せる初々しい反応が、あまりにもサスケの心にクリティカルヒットし内心悶えていた。
本人は表情を引き締めているつもりのようだが、第三者から見れば全然無表情を貫けておらず、デレっと相好を崩すことが多々あった。
サスケがナルトに衝撃の告白をしてから急速に距離が近づいた二人。
正確には、距離をぐいぐいと詰めてくるサスケに拒絶が出来ず、たじたじなナルトという図なのだが……。
頑なナルトの心をサスケが少しずつ溶かしていることもまた事実だった。