熱血真面目大魔王爆誕祭

(連載夢主)

***

「はっぴばあすでいとぅぅゆぅぅーはっぴばあすでいとぅぅゆぅぅーはっぴばあすでぃあフエゴレオ〜〜ン」
「ヤミ、そんな雄々しい声で歌われてもフエゴレオン嬉しくないと思うよ」

炎の王族・フエゴレオンは真夏に生まれた。今日は8月5日。みんなでヴァーミリオン邸にお邪魔して誕生日を祝う。

「熱血真面目大魔王爆誕祭はおれが祝う!」

と、今日一番張り切っているのは意外にもヤミ。どうせケーキ狙いだろうけど。それとは逆に無理矢理連れてこられた不機嫌顔のノゼル。誕生日プレゼント用意してるのだろうか。

「みんな、今日はありがとう」

夜になれば彼の誕生日パーティーが開かれる。それも王族に媚びを売るために集まった貴族だらけだというので、私とヤミは出席しない。だからパーティーまでのほんの短い間だけだが、こうしてお祝いさせて頂く。

「まずは私から。誕生日おめでとう、フエゴレオン」
「ああ、ありがとう」

開けてもいいか、と聞かれて勿論。と答える。包装を解くとボトルが出てきた。

「おいおい酒か?」
「ちゃうわ。まだ未成年」
「これは...入浴剤なのか!?凄いな、ありがとう」

よくあるボトル型の入浴剤。気泡が付いていたので、スパークリングワインと勘違いされたのかもしれない。

「じゃあおれからも。まずは縦長変人から預かったヤツ渡すわ」

ヤミがズボンのポケットから取り出したものをフエゴレオンに押し付けた。ていうかジャックってプレゼントくれるような人なんだ。へー。

「これは...食べ物か...?」

...異臭を放っている気がする。

「それ、一昨日のさけるチーズ。あいつ、裂くの好きじゃん?だからお前にも裂きごたえってやつを味わって欲しいって言ってた」

さけるチーズがこの世界にもあることにびっくりだわ。ていうか絶対ジャックからじゃないよね。捨てたかったさけるチーズをジャックからのプレゼントってことにして無理矢理フエゴレオンに押し付けただろ。

「あ、ありがとう」

いいよ〜礼なんて言わなくて!プレゼント腐ってるって聞いたことないから!

「んで、おれからはこれな」

ほい、と差し出されたのはヤミのグリモワール。いやそれ何も笑えない。このやりとり前にもなんかあったな。

「おい異邦人。貴様無礼にも程があるだろう」
「そうだそうだ」

ノゼルはそう言って懐からおもむろにプレゼントを取り出した。

「受け取れ。貴様が前々から欲しがっていたものだ」
「ありがとう、ノゼル」

ライオンのモチーフの何かだった。用途不明だったが。ヴァーミリオン家はライオン本当に好きだな。



「...なんだ?客人か?」
「姉上!」

出た。アネゴは若かくてもオーラと威圧感が半端ない。

「私の愚弟の誕生祝か。感謝する」
「あのバイオレンスメスライオンが感謝なんて言葉知ってんだな...」
「貴様、聞こえてるぞ」

心の声がダダ漏れだったヤミにアネゴの炎の手が襲いかかる。髪の毛を持ち上げられてヤミの顔が引きつっている。頭皮が心配。

「無礼者め。その根性叩き直してやる。来い」
「あー、いや、ちょっと」
「問答無用!」

さようなら、ヤミ。これはあなたがフエゴレオンにプレゼントをあげなかった罰だよ。

「...とにかくありがとう。ナマエ、ノゼル。そしてたった今連れて行かれたがヤミも」

フエゴレオンは嬉しそうだった。目には微笑みをたたえて、頷いた。

フエゴレオンの笑顔は私を元気にしてくれる。また、来年もこうしてお祝いできたらいいな。なあんて私は考えたりした。

Happy Birttday Fuegoleon! タイトルの漢字の羅列が目にストレス。
2019.8.5

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