手をつなげばわかると思う

匿名様リクエスト

ああ、またやっている。
ナマエは先程から見知らぬ男女を観察していた。外だというのに二人は密接にくっついて、互いの手を絡めて、そして・・。

ナマエは目を逸らした。見たくない。他人のキスシーンなど。
でも心のどこかでは、憧れている。ああ、私もペロスペロー様としてみたいな、なんて。


「どうしたんだ、ナマエ?」
「あ、いえ・・」

でもどうやって。ナマエは甘え方を知らない。それは一人っ子だからというのもあるが、今まで恋人というものが出来なかった事も原因だ。
今もこうして彼と隣で歩いているが、手すら繋げていない。傍から見れば、ただの上司と部下じゃないか。
そんな劣等感に苛まれながら、ナマエは自分の手のひらを見続けていた。



「・・・したいのか?」
「えっ」

ペロスペローは、ずっと待っていた。が、いつまでももじもじとしているナマエを見て、つい自分から切り出してしまった。
年のせいか、このごろ年齢の離れた恋人が可愛くて仕方がない。

「そんな、公衆の面前で・・。恥ずかしいです」

ナマエは二人きりでもしないと言うだろう。恥ずかしがり屋で甘え下手なのだ、彼女は。ああ、愛らしい。

「じゃあ二人きりならいいのか、ペロリン?」
「うっ・・」

いちご飴のように真っ赤になったナマエを見てペロスペローはにやりとせざるを得ない。
ここまでナマエに意地悪な問いかけをしてしまうと、なんだか自分が新しいものに目覚めそうだったのでそろそろやめておく。

「いいか、ナマエ。こういうのはペースが大事だ。だから焦らなくていい、おれ達のペースでゆっくりとやっていけばいいんだぜ、ペロリン♪」
「そういうものなんですね・・」

そう言うとペロスペロー様は私の頭を撫でた。兄や姉のいない私には馴染みのないこの行為でさえなんだか気恥ずかしい。彼がいつも妹たちにするように撫でてくるのでちょっと複雑ではあるが嬉しいのは間違いない。


「だから」
「あっ」

ペロスペローはナマエの手をとって繋いだ。ナマエはそこで初めて、彼の乾いた暖かさを知った。しかもそれは、恋人同士がするような、指をしっかり絡めたような、まるで貝殻のような繋ぎ方だった。

「最初のステップは手を繋ぐ事から始めよう。その次はハグ、そしてキス」
「恥ずかしいです・・」

でも、嬉しい。ペロスペローは、彼女の口から溢れたその言葉を聞き逃さなかった。

「ふふふ、これから存分に甘やかしてやるさ、ペロリン♪」

ペロスペローは握る手の力を強めた。しっかりと。


リクエスト内容は「甘え方がわからない一人っ子夢主を甘えさせようとするペロスペロー」との事でした!私の中では糖度増強したつもりなのですが・・。ご希望に添えていなかったらごめんなさい。

最後に、リクエストありがとうございました!今後ともよろしくお願いします。
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