Love in the aquarium

美雲様リクエスト

注意)今回のヒロインは前回ヒロインの友人設定(複数主)です。1人は名前変換が前回ヒロインと同じですが、同一人物ではありません。

***

「リーチ一発ツモー!!!ホンイツドラ4加えて裏ドラ乗った!!」
「ヤラレタ…」
「強すぎるのう・・末恐ろしい」

ここは商店街にある昔ながらの中華料理屋。ナマエはおじいちゃんと一緒にこの店の店長の孫であるナナシに麻雀を教えてもらっていた。
ナナシは女子高生ながら麻雀が恐ろしく強い。中国人より強い。将来はプロ雀士もおかしくない。

「いつになったら私に勝てるのさ」
「多分永遠にムリ・・・」
「わしが教えたのになあ、もうナナシには勝てなくなってしもた」

ナナシのおじいちゃんであるこの店の店長が言った。幼稚園からの幼馴染であるナマエとナナシは家族ぐるみの付き合いで、お互いのおじいちゃんのことはよく知っている。

「ときにお二人さん」
「「はい」」

ナナシのおじいちゃんが言った。彼は中国の血が混じっているというが、日本語がとても達者だ。ナマエも日米ハーフだが、日本語不自由なところがまだある。

「これから料理に山菜を使いたいんじゃが、二人も手伝ってくれんか?」
「・・・それって、山菜を採りに山に行くってこと?」
「ああ。勿論、お小遣いは出る」
「「行きマス」」

あっさりとお金につられ、ナマエとナナシ、そしてそれぞれのおじいちゃんの四人で山菜の採れる山に行くことになった。

***

「見えた」

向こうにぼんやりとではあるが、目的の島がある。ママの望むお菓子の材料が、その島にしかないのだ。
しかし、この島には不気味な噂が流れている。霧にのまれたら、もう二度と帰って来られないという。
事実、先日部下の船をこの島に寄越すと、間もなく行方不明となった。
調査も兼ねて、オーブンとクラッカーはこの島に向かっていた。

「確かに濃い霧だな」
「あァ。・・・・おい、あれ、!!」

目の前の部下の船が、霧の中に消える。電伝虫も応答しない。

「・・あの噂は本当だったのかもしれねェな」

何が起こっても新世界では不思議ではない。

「オーブン様、クラッカー様!!舵がききません!」
「!なんだと」

船は進むことを止めぬまま、ズルズルと霧に引き込まれていく。能力者の二人は海に飛び込んで逃げることも出来ない。

「まじかよ・・」

なす術もなく。二人は深い霧の中に消えていった。

***

「いいか?この山の土地神に断らず無断で入山すると、必ず生きて出られないという伝説が残っておる。だからまずは、この祠にお祈りする」

お供え物を置いているのは恐らくナナシのおじいちゃんのみ。滅多に人が来ないような山だった。

「帽子は脱いで。ひたすら祈るのみ、じゃ」

少々胡散臭いが、言われたとおりに目を瞑って祈る。土地神様、どうかワタシ達を無事に家に返してください。ついでに日本語も上手くなりたいです。ついでのついでにカレシ降って来ないかな・・・・

・・・・

「なっ!!」

突如として辺り一面が強い光に包まれた。どうやら光は祠から出ているようだった。
ダァァアアン!と凄い勢いで祠の扉が御開帳し、人間が出てきた。

「キャアア!!人じゃあああ!!」
「おじいチャン!!落ち着こう!」

どちらも2m程だろうか、かなりの大男が中から出てきた。しかも二人ともムキムキ。
変な格好もしている。どちらも上半身は裸でそれにマントだけ。

「格好が変態チック・・」
「おじいちゃんやめてあげて」

一旦山菜採りは中止に。とりあえずは出てきた二人を手当てしなければ。




お祈りのせいもあってか、無事に下山できた。お祈りのせいでこうなっているのかもしれないが。

「にしてもこの人タチ、凄い筋肉・・」
「胸板厚すぎて凄い・・」

おじいちゃん達は、何やら真剣な顔で話し込んでいる。そりゃ、人が出てきたんだものね。

「・・・ん?」
「あ、起きた」

二人共同時に目を覚ましたようだった。ナマエとナナシは顔を覗きこむ。



「・・・!?何者だ!?」
「おはようございます」

クラッカーの纏っていた鎧はいつの間にか消えている。にしてもなんだ、ここは。そして、

「気分はいかがですか」
「気分も何も・・」


オーブンとクラッカーはぽかんと口を開けていた。目の前の二人の少女の美しさに圧倒されたからだ。

「私はナナシといいます。あなた達は突然祠から出てきて・・。何か知ってます?」
「あ・・、いや」
「ですヨネ・・。あ、ワタシはナマエです」
「あァ・・・」

オーブンとクラッカーの二人は固まったままだった。そこへ、彼女たちのおじいちゃんがやって来る。

「・・・アンタらも、もしかして海賊か?」
「何故知っている?」
「やはりな・・」

おじいちゃん二人は顔を見合わせた。

「実はかつてわしらも、海賊をやっていた。わしが船長で、こっちのじじいが副船長でな」
「・・・マジ?」

ナマエとナナシは驚かずにはいられない。だがどうやらおじいちゃんの様子を見ると、真剣に話そうとしていることから真実なのかもしれない。

「ある日、船員の一人が商船から奪った鏡に吸い込まれ消えた。不審に思ったわしらは、鏡についてよく知っている人物を訪ねに島に上陸しようとしたが、島を覆う霧にのまれ気付いたら祠の前に倒れていた。アンタと全く同じじゃ」

情報量が多すぎて全く頭に入ってこないが、つまり、おじいちゃんは異世界の人ということになるのだろうか。

「ところで、アンタらの名前は?」
「シャーロット・オーブン」
「シャーロット・クラッカーだ」
「しゃっ・・・シャーロット!!??」

腰を抜かす、とはまさにこの事で、おじいちゃん二人はその名前を聞いた途端に立っていられなくなった。

「も、もしやあのビッグマムの息子・・・!?」

やや語尾の高くなった声でおじいちゃんたちはオロオロ。向こうの世界では凄い人、らしい。

「・・・とりあえず、その怪我が治るまで、ここにいたらいい」

オーブン・クラッカーは祠から出てきたときの衝撃で、軽い怪我をしていた。

それから二人は、帰れる方法を見つけるまでの間は、滞在することとなった。

***

「ビスケット兵!!!!!」

クラッカーさんに死ぬほど手を叩かせた。面白いほどにビスケットは増えていく。バイバインみたい。

「そして美味しい!!」
「お前のためならいくらでも作り出してやる」

ナナシは、クラッカーの明らかな好意に気づかない。それはナマエとて同じだった。

「オーブンサン超温い・・・」
「ははは、ほら、もっと近くに来い」

__最近のJKのコミュ力は凄まじいもので、あっという間に異世界から来た海賊と仲良くなっている。
もっとも、その二人の海賊がナマエとナナシに惚れている、というのも大きな理由なのだが。

「めっちゃあったかいし、ビスケット美味しい!!」

この二人はいつまでここにいてくれるんだろう。そんなことをナマエとナナシは頭の隅で考える。
単純接触効果(ザイアンス効果)って知ってる?
毎日顔を突き合わせていたら、いつの間にかその相手のことが好きになっちゃうっていう心理学的に証明されている効果。やっぱり、当てはまるんだ、って実感したよ。でもどうせ妹みたいにしか思われてないんだけどさ。

いつかはクラッカーさんも、オーブンさんも、帰ってしまう日が来る。そうなる前に、仲良くしていたい。




「いくらなんでも我が孫がビッグマム海賊団の奴らに惚れられるとは・・・、おじいちゃん悲しい」
「まあまあ、でもあいつらを見てみろ。あれは恋してる顔じゃ」

老人二人は孫たちと海賊とのじゃれ合いを酒を片手に遠くから眺めていた。

「わしのナナシちゃんが取られちゃう・・・ううっ」
「みっともないから泣くなクソジジイ。わしだってナマエが取られるのは悲しいの!」

悲しい、という言葉とは裏腹に、かつての船長は笑っていた。ナマエとナナシがいいならそれでいい、という風に。



「トットランドって話を聞いてる限りでは凄いのね!」
「行ってみたいカモ」
「なあに、その内連れてってやる」

今まで散々アピールしてきたのに気づかない鈍い彼女達が、一周回って愛しい。
クラッカーとオーブンは、もう帰らないでここにいてもいいかもしれないなとも思い始めていたのだった。



(そういえばワタシの友達の家にも異世界から来た海賊がいるらしいよ)
(名前なんだっけ?カタ・・・なんとか)
((カタクリ!?))


いかがだったでしょうか。今回は、「前回のヒロインの友人2人がヒロイン(クラッカーとオーブン)オーブンお相手 日本人とアメリカ人のハーフの幼じみ(日本語は流暢に話せるけど、少しカタコト)クラッカー お相手 昔から有る中華料理の孫娘ヒロインとは、幼稚園からの幼じみ(日本語ペラペラ話せる)話の流れは、オーブン、クラッカーは遠征中に深い霧に覆われて異世界に→その頃ヒロイン2人は、祖父の手伝いに山に入るのだが、山に入るさい必ず土地神に祈りを捧げる事をしないと行方不明になる為4人で祈ってた→強い光に包まれる→大男2が倒れてる→看病する→爺ちゃん2人説明(前回ヒロインのお爺ちゃんの元船長と副船長)→看病をしてくれたヒロイン2人に一目惚れ→気付かないヒロイン達→ヒロイン達ちょっとずつ意識するけど相手されてないよね→複雑な副船長、船長はまるで昔の俺達見たいだと笑う」との事でした!複数主を同時に書くのが初めてだったので少し手間取ってしまいました・・。あんまり自分では上手く書けた気がしない・・。今度カタクリ夢主との交流とかがあってもいいかもしれませんね!

最後に、リクエストありがとうございました。今後ともよろしくお願いします!
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