愛のこきゅう

匿名様リクエスト

政略結婚の成功例は、まさしく私達だ。ナマエは後ろから抱きついてくる夫・クラッカーの存在を感じてそう思った。
なんで私が45歳のおじさんと結婚しなくちゃならないの・・・、しかも手配書の顔あまり好みじゃない・・、と最初は思っていた。だがクラッカーが不器用だが優しかったこと、手配書の顔は実はビスケット兵で本当の顔は全然違ったことで、余所余所しかった二人は気がつけば国中の誰もが認める仲良し夫婦として知られている。

「ナマエ」
「ん?なんですか」

何を話すわけでもなく、ただこうして一緒にいる時間がたまらなく幸せだ。
それはクラッカーも同じようで、いつもナマエを抱っこするか初初しい恋人のように手を繋いだりしている。今もこうして後ろから抱きつかれながら、ナマエの手を握ったりさすったりしている。

「ナマエ」
「ふふ、だからなあにってば」

クラッカーは余程ナマエの名前が好きなようで、暇さえあれば名前を呼んでいる。そのおかげで、ナマエは今までなんとも思っていなかった自分の名前を好きだと思えるようになった。

「ねえクラッカー様、もし仕事が忙しくないんだったらでいいけど、あの新しくできたカフェに行ってみたいんです。今日は晴れだし。どう?」
「それはいいな。なら、今から行くか」
「仕事はいいの?」
「お前のためなら後回しだ。なあに、すぐに終わるから心配するな」

そう言ってクラッカーはキスした。今日で何回目かのキスだったが、もう数えるのもバカらしいくらい沢山されている。
クラッカーはナマエを軽々と抱き上げると、そのまま立ち上がった。最近の移動手段はこれが多い。おかげで運動不足気味だから太ってしまいそう、と言ったら、"太ったお前も十分魅力的だから、このまま抱き上げて歩くことをやめないからな"と言われ、しばらくナマエの胸キュンが止まらなかった。

「でも、やっぱり歩きたいです。クラッカー様、降ろして」
「、そんなに嫌か、抱き上げられるのが」

ちょっと不服そうな声でクラッカーが言うものだから、ナマエはそんな彼を可愛いと思ってしまう。

「違うの。手を繋いで歩きたいから」
「・・・そういうことなら」

早く言え、とクラッカーはナマエを降ろして手を繋いだ。クラッカーの大きな手にナマエの手はすっぽりと包まれてしまう。それどころか、彼の手は体中まで包み込まれているような気分にさせてくれる。

ナマエは指先を通して気持ちを伝えようとした。それがクラッカーにも伝わったのか、ぎゅっと握り返される。


私、あなたの元へ嫁げて良かった。


陽だまりの暖かさもまた、二人を包み込んでいた。


いかがだったでしょうか。リクエスト内容は「政略結婚した妻が好きすぎていつでも一緒なクラッカーさん(抱っこするのと恋人つなぎが大好きな45歳)」との事でした!クラッカーさんはやっぱり45歳でも可愛いですね・・!素敵なお題をありがとうございます。

最後に、リクエストありがとうございました!今後ともよろしくお願いします。
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