Hey,papa?
えむかえ様リクエストデスクワークほど嫌いなものはない。だから早く終わらせて早く帰る。ナマエは集中するために周りの雑音をシャットアウトしていた。
「おい、ナマエ」
カクテルパーティー効果、と言うらしいが、しばらくして自分の名前が呼ばれていることがすぐに分かり、返事をする。
「何?パパ。・・・!?」
あっと思ったときには、そこにはパパと呼んでしまった上司、カタクリ様の姿が。
あっ、やべ、やっちまった。カタクリ様が固まる。私も、周りの人も固まる。
「あ、間違えましたスミマセン・・」
穴があったら入りたいとはこのことだ。やりどころの無い羞恥で真っ赤になった。
もっと恥ずかしいのはこの年でまだ父親をパパ呼びしていることがバレてしまったことである。まあそんなことを言えばカタクリ様だってママと言ってはいるけれど。
あー、恥ずかしい。死因:恥ずか死。明日仕事に猛烈に行きたくなくなったナマエであった。
***
『何、パパ?』
パパと呼ばれたのは初めてだ。しかも割と好いている女に。
と、いうことはナマエはおれを父親のような存在だと認識しているのだろうか。いや、そんなはずは。ただ言い間違えただけだ、きっと。おそらく。
「よお、カタクリパパ」
鬱陶しい奴らが来た。
カタクリはからかって来たオーブンとダイフクをこれでもかと睨みつける。しかし、全く効いていない。
「聞いたぜ。お前、ナマエちゃんにパパと間違われたんだって?」
「この年でまだパパって呼んでるなんて、ナマエちゃん可愛いな」
今度はからかう二人の口を餅で塞いでやった。今はこれ以上聞きたくない。
「なんの騒ぎだ、ペロリン?」
「・・・、ペロス兄」
ペロス兄まで来てしまった。バレるとこれは非常に恥ずかしい。
「カタクリの部下のナマエちゃんがよ、カタクリのことをパパって呼んだんだ」
「っおい」
塞いでおいたはずの餅はいつの間にか食われており、オーブンとダイフクは口が自由になった今、勢い良く喋りだす。
「ちょうど今それでナマエちゃんを好きなカタクリが落ち込んでいるところをおれたちが慰めてやってたんだ」
「ほう?」
ペロス兄が興味津々、といった顔でこちらを見てくるものだから困り果てた。
「あのカタクリにもそんな相手がいたとはなァ」
くくく、とどこか嬉しそうにペロス兄は笑った。
「おい、見ろよ。あそこにいるの件のナマエちゃんじゃねェか?」
「おお、マジだ。おーい、ナマエちゃーん!!」
こいつら、調子に乗りやがって。名前を呼ばれたナマエは凄く気まずそうな顔をして反応に困っている。
「な、なんでしょう・・・」
「なんかカタクリがよ、ナマエちゃんにパパって呼ばれ、むぐうっ」
それ以上は言わせない、とダイフクの口にたらふく餅を詰め込んでやった。ついでにオーブンにも。
「・・・昼間の失態、めちゃくちゃすいませんでした」
何を勘違いしたのか、深刻な顔でパパ呼ばわりの件を謝ってきた。別にカタクリはそれだけのことで部下を罰するような心の狭い人間ではないと自負している。
「いや、別に気にしていない」
「((嘘つくんじゃねェ))」
ダイフク・オーブンは物理的に口を封じられているので何も言えない。
「くくく、だがもしかしたらナマエがカタクリをパパと呼ぶときも来るかもなァ、ペロリン♪」
「?」
もし二人が結婚してカタクリが父親になったら。ナマエは旦那であるカタクリのことを、子供が呼ぶのでパパと言うようになるかもしれない。あくまでもしもの話である。ナマエはイマイチピンときていないようだったが。
「おれももう年だなァ」
弟に、そういう相手が現れた。それだけでペロスペローは嬉しかった。気を緩めれば涙腺も緩んでしまいそうだ。
カタクリとナマエのそんな未来を想像して、胸の膨れるような心地よさを感じるペロスペローであった。
(おれたちも可愛い部下が欲しい・・・)
(おまえらはホーミーズで十分だ)
いかがだったでしょうか。リクエスト内容は「(割と)好きな部下が集中してる時に話しかけたら間違ってパパって呼ばれちゃって一時停止するカタクリさん。
夢主は恥ずかしくて明日仕事に行きたくないし、それ聞いたペロス兄はほっこりするし、オーブンとダイフクはわざわざからかいにくる。」との事でした!素敵なお題をありがとうございます!それと、後から読み直しましたが、見聞色全然使わないカタクリさんでしたね!!(ほっこり)
最後に、リクエストありがとうございました!今後ともよろしくお願いします。
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