きみの終焉をここに待つ

1



金田一はじめは、とあるファミリーレストランへと1人で来ていた。
何故なら、宿敵・高遠遙一に呼び出されたからである。

下手に警察を連れてくれば、何をされるか分からないので、警戒しつつたった1人で来たのだった。

辺りを見渡してみても、それらしき人物は見当たらない。

「ここですよ、金田一君」
「!?」

声がする方向を見ると、眼鏡を掛けただけという軽い変装をした高遠が座っていた。

「…お前が俺に話があるなんて。で?話って?」

高遠は薄気味悪く笑った。はじめは密かな恐怖を覚えた。

「貴方に頼みがあるのです」
「なんだよ」
「ある女性を探しています」
「・・・で?」

高遠はまた微笑んだ。それははじめがその女性を知っていると確信した眼差しであった。

「ダリにガラがいた様に、犯罪芸術家である私にも“ミューズ”がそろそろ必要だと思いましてね」

ダリにとって、ガラは自らを守ってくれる聖母マリアであり、詩才を与えてくれる詩神ミューズであり、知恵と愛をくれた存在。そんな人を、高遠は欲しているという。

「ふーん。で?そのミューズとやらを俺が紹介しろと?」
「はい。一応私の好みをまとめました」

高遠は一枚の紙を渡す。

1 邪魔はして欲しくないので、IQ150以上の頭の良い女性であること

2 年下が望ましい

3 犯罪歴がある

4 料理上手で献身的


「……いる訳ないだろ!俺の友達にIQ150以上の犯罪者なんていないわ!」
「とにかく、それにふさわしい方がいたら、是非紹介して欲しいです。」
「分かったよ!…で?話はそれだけじゃ無いだろ?」
「そうです。実は貴方に折り入ってお願いがあるのです。」
「今度はなんだよ」
「実は先日、私の元に1通の手紙が来ましてね…そこにはこんな事か書いてあったんです」

きたる×月×日
薔薇十字館にて、青薔薇の完成披露会を執り行いますので是非ご参加ください。
ささやかながらお食事と柔らかいベッドを用意してお待ちしています。

なお、高遠様がおいでになられない場合、同日この場に招待されている高遠様の異母妹のお命を頂戴致します。

“Rosenkreuz”

「ローゼンクロイツ?」
「ドイツ語で「薔薇十字」の意味です」

高遠は続ける。

「このローゼンクロイツという人物は、あろうことか当の私ですら存在を知らない異母妹を人質にこんな挑戦的な手紙を送り付けてきた。この犯罪芸術家地獄の傀儡師に対して、これは許し難い屈辱ですよ…」

はじめはゾクッとした。

「…で?あんたはお得意の芸術犯罪で逆にそいつを殺そうってワケか?まさかお願いってのはそのローゼンナントカを探すお手伝いか?冗談!殺しの手伝いなんて絶対やらねーよ!!」
「…いや、君には守ってもらいたい。」
「え?」

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