レイブンクローの生徒がいつになくピリピリしているのは、一ヶ月後に控える定期試験のせいだ。
まだ一ヶ月もあるのに・・・と言う人も多いかもしれないが、レイブンクロー生にとっては一ヶ月しかない。
それは生粋のレイブンクロー生であるナマエでさえも例外ではなかった。
(勉強勉強勉強勉強勉強・・・)
今ナマエの脳内は”勉強”という文字の羅列に支配されている。
ルームメイト達も黙々と課題をこなしていく。まるで何かに取り憑かれたかのように。
やるときはやるし、やらないときはやらないのだ。
だが今はやるとき。
羊皮紙を埋めるため、ナマエは図書館へ向かった。
七年かけてすべての本を網羅していたナマエは、本の場所を記憶しているので、その足は迷うことなく目的の本棚にたどり着いた。
そして、目当ての本に手を伸ばそうとする。
「「あっ、すみません」」
「どうぞ」
「いやあなたこそどうぞ・・」
譲り合いの精神が発揮された。
「・・・あなた、ナマエ・ミョウジ?」
「えっ、なぜそれを」
「あなた有名だもの。優秀なくせしていたずらばかりする奇人で」
「へ?」
奇人?まじか・・。確かにレイブンクローは奇人ウリックを輩出した寮だが。
「私はハーマイオニー・グレンジャー。今回のテストは首席を狙っているわ。お互い頑張りましょう」
そう言い残し、ハーマイオニーは立ち去った。
「・・・負けてられっかよおお!!」
気合を入れるため、頬をバシッと叩くと、思ったよりも鳴り、マダム・ピンスにギロリと睨まれた。
少しだけ、勉強のストレスが軽くなった気がした。514538