私はきれいじゃないけれど
人は見かけによらぬもの
私をしのぐ賢い帽子
あるなら私は身を引こう
山高帽子は真っ黒だ
シルクハットはすらりと高い
私はホグワーツ組分け帽子
私は彼らの上をいく
君の頭に隠れたものを
組分け帽子はお見通し
かぶれば君に教えよう
君が行くべき寮の名を

グリフィンドールに行くならば
勇気があるものが住まう寮
勇猛果敢な騎士道で
他とか違うグリフィンドール

ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で
苦労を苦労と思わない

古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう

スリザリンではもしかして
君はまことの友を得る
どんな手段を使っても
目的遂げる狡猾さ

かぶってごらん!恐れずに!
興奮せずに、お任せを!
君を私の手にゆだね
だって私は考える帽子!


組分け帽子の歌の後、組分けが始まった。


「グリフィンドール!!!」

やっぱり親子なんだな、と無事にグリフィンドールに組分けされたハリーを見て思う。

グリフィンドールの生徒に歓迎され、嬉しそうなハリーを見て、自然と口元が綻んだ。

その後も次々に組分けされ、遂に自分の番がきた。

「ミョウジ・ナマエ!」

マクゴナガル先生が驚いて名前と私の顔を交互に見る。

無理もない。監督寮は違えど、元教え子と同姓同名の、しかも顔がそっくりすぎる(だって本人なのだから)生徒がいたら、驚くに決まってる。

私は堂々と前に進み出る。もう一度組分け帽子をかぶれるなんて、夢みたいだ。

「レイブンクロー!!」
「えっ」

かぶる前に言われてしまった。しかもまたレイブンクロー。今度こそグリフィンドールに入りたかったのに。

だけど、頑張らなくては。誰にも疑われない優等生になるためには、レイブンクローが一番ピッタリな気がした。

レイブンクローのテーブルに向かうと、ハリーほどではないが、歓迎された。

「レイブンクローへようこそ。私はチョウ・チャンよ。よろしくね」

黒髪が美しい東洋人の女の先輩に笑顔で話しかけられる。

「こちらこそよろしくね」

つられて笑顔で返す。

その後も私はチョウや、周りの新入生と話した。


私は教員席の方を見ると、はっと息を呑んだ。

彼がいた。

ホグワーツで教鞭を執っていることは耳に入れていたが、いざこうして見るとなぜだろうか、涙が零れそうになった。

(会いたかった)

彼は私のそんな視線に気づかず、ただグリフィンドールのテーブルの方を憎々しげに見ている。

今、彼の胸中では色々なことが渦巻いているのだろう。

(ハリー、頑張ってね)

応援することしか出来ない自分が不甲斐ない。

そんな感情は追いやって、ナマエは新しい友人達との会話を楽しんだ。
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