ナマエ・ミョウジが死んだのは、今から10年前の11月1日、ポッター夫妻が殺害された日の翌日だった。


詳しいことはわからなかったが、純血の名家であるミョウジ家の最後の一人が死んだということで、彼女の死は純血一族界隈で少し騒がれた。

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「今年は”生き残った男の子”が入学する年じゃな、セブルス。」

長い髭を生やした老人_ダンブルドアが、目の前の真っ黒の男にそう話し掛ける。

真っ黒の男_セブルス・スネイプは、”生き残った男の子”という言葉を聞いて、更に眉間を深くする。

「そんなことは分かっています。それで、話というのは?手短に済ませていただきたいのですが」

スネイプは予定が詰まっていた。その顔には疲れと苛立ちが浮かんでおり、いつもの彼の何倍も近づいてはいけないオーラが漂っていた。

それでもダンブルドアは愉快そうに笑うだけだった。

「ナマエ・ミョウジという名前に聞き覚えはあるか?」
「ナマエ・ミョウジ・・・」


懐かしい名前だった。10年間殆ど聞かなくなった名前だ。頭の中に彼女の顔が思い出される。

もう何年も見ていないのに、鮮明に浮かび上がってきた。


「そのナマエの娘が、今年入学してくるのじゃ」
「ミョウジに、娘がいたのですか・・・」

知らなかった。在学中も、誰かと交際しているなんてことは一度も聞いたことがなかったし、卒業後も顔を合わせる機会があったがそんな話はしていなかった。

「名前は彼女と同じ、ナマエ・ミョウジ。彼女はミョウジ家の遠い親戚の薬草店に預けられたのじゃ。」

半月型の眼鏡の奥にある目と合う。まるで、今の彼の複雑な心中を見透かしているかのようだった。

「セブルス、頼みがある。その子を守ってくれ」
「!何故・・・」
「今はまだ話すことは出来ん・・・」

この老人は何でもかんでも秘密にしすぎだ。

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そして、来る入学式。

スネイプは、組分け帽子の前に進み出る少女を見て息を呑んだ。


少女が、彼女の母親と寸分違わぬ容姿をしていたからだ。
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