異なる世界


「んじゃ、まず広場からな。下町の中心にはこの

 水導魔道器(アクエブラスティア)があって・・・・」

「せんせー。あくえぶらすてぃあってなんですかー?」

「・・・お前の世界って魔導器(ブラスティア)ねぇのか?」

「ないです」



嘘だよ、本当は知ってるよ。腐るほどヴェスペリアはやりつくしたからね。


この世界にはエアルという、まあ空気中に紛れているものがありまして。

このエアルがないと、ここの世界の人々は生きていけない。

私の世界で言う酸素みたいなもので、どんな人にもエアルが必要なのです。

そして、そのエアルを用いて活用されているのが魔導器(ブラスティア)。

魔導器(ブラスティア)といっても色々ある。


例えば、身に着けて身体能力を上げたり、術が出せたりするのは

武醒魔導器(ボーディブラスティア)。

大きな町などに設置されている、結界を作り魔物から人々を守る

結界魔導器(シルトブラスティア)。


ほかにも様々な魔導器(ブラスティア)があり、人々は魔導器(ブラスティア)がないと

魔物に食べられてしまうし、生活にも大きく支障がでる。

しかし、支障が出るにも関わらず、全ての人や町に魔導器(ブラスティア)が

あるわけではない。


なぜなら、帝国が独占しているから。

魔導器(ブラスティア)は今の技術ではまだ作れない。

遺跡から発掘されたものを使っている。

それでも一人でも多くの人が安心して暮らせるように、日々努力をしているらしい。


それから、魔導器(ブラスティア)には魔核(コア)が必要で、

魔導器(ブラスティア)の動力源だ。



・・・説明お疲れ様です!!



「・・・って事だ。わかったか?」

「おk!」

「お、やけに物分りいいな」

「ふっふっふ。なめてもらっちゃ困るよ、ユーリ君」



伝説のゲーマーと呼ばれた私に理解できぬものはないのだよ。



「お前の世界って魔導器(ブラスティア)無しでどうやって生活してんの?」

「ん〜、そもそも魔物がいないし」

「・・・そうなのか?」

「うん。あとはまあ、空気中のものを使ったりして生活してるかな?」
「へぇ。オレから見れば、理想の世界だな」

「・・・そうでもないよ」



そう、魔物がいないのが当たり前な私の世界は、欲で人を殺す。

悲しみ、怒り、憎しみ。

人間は争うことをやめない。


どのへんが理想なのか、私には全然わからなかった。



「・・・ねぇユーリ!早く下町を案内してよ!」

「あ、ああ」

「優しくエスコートよろしく!」

「・・・お前にエスコートとか必要ねぇだろ」

「それは私が女じゃない、と言いたいのかな?ん?」

「ほら、行くぞー」

「あ、ちょっと待ってよ!」



引き続き『帝都ぶらり旅』は続くのだった。





[前]
[次]


戻る

Topへ


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -