いざ、仕事探しの旅へ?
仕事を紹介すると言われ、連れてこられた場所は・・・・
「ほら、ここ」
「ここって・・・・『箒星』?」
「ああ。・・・なんか問題あったか?」
「ううん、むしろ全然おkだよ!」
ユーリの部屋から近いし、文句無しだね!
「あ!ユーリと・・・昨日のお姉ちゃん!」
「よう、テッド」
「よう、少年」
「僕は少年じゃなくてテッドだよ!」
「私もお姉ちゃんじゃなくてユイだよ」
さりげに二人の言葉を真似してみながらも名乗る。かなり今更だけど。
「ちょうどいい。テッド、女将さんはいるか?」
「うん!ちょっと待ってて!」
今日も元気いっぱいに返事をしながら奥に消えてゆく。
しばらくすると女将さんが出てきた。
女将さんは私を見るなり心配そうに駆け寄ってきた。
「アンタ、昨日の!大丈夫だったかい!?」
「え?何が・・・ですか?」
「ユーリに何もされていないかい!?」
「だ・・・大丈夫ですよ!」
ヤベ、ちょっとどもった。
ばれていないかとユーリをちらっとみれば、幸いテッドとしゃべっていた。
・・・ふぅ。
「それで、今日はいったいどうしたんだい?」
「えっと、できればここで働かせて頂けませんか?」
「え?」
「私、ちょっと色々あって・・・。しばらくユーリにお世話になることに
なったんです」
「・・・・」
「ユーリにこれ以上迷惑かけることもできないので、働こうかと・・・・」
何も話さない女将さんが気になって顔を上げると、女将さんは私を抱きしめた。
ちょ・・・・。
「なんていい子なんだい!大丈夫!アイツは迷惑なんて思っちゃいないさ!」
「え・・・でも」
「むしろめいっぱい迷惑かけてやりな!」
それはどうなんだろう?まるでユーリが迷惑・・・厄介事が大好きなような言い方。
・・・・合ってるな。ユーリ=厄介事好きみたいな方程式が成り立ってるわ。
「えと、それで、仕事の方は・・・・」
「もちろん良いに決まってるじゃないか!そのかわり、きっちり
働いてもらうよ!」
「は、はい!!よろしくお願いします!!」
まさかこんなにあっさり決まるとは思わなかった。
下町は良い人だらけだ。自分の世界とは違う暖かさが感じられる。
「お、良かったな」
「うん!あんがと、ユーリ!」
「何でオレにお礼言うんだよ」
「う〜ん、なんとなく?」
「変な奴だな、オイ」
「自分でもわかってるからそんな冷静に言わないで。心が砕けるから」
近いうち、ユーリに心を折られる気がする。
少々身の危険を感じながら、私の仕事先は決まったのだった。
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