乙女の大事件
チュンチュン......
明るい陽射しに瞼を開ける。ようやく朝か・・・・。
長かった。非常に長い戦いだった。
大好きな人が目の前にいるだけで叫んで卒倒しそうなのに。
我ながらよく耐えた。頑張ったよ、自分。(結局徹夜かよ・・・)
おそらくもうすぐで目を覚ますだろう。良かった・・・・。
心から安堵したその時。
「ん・・・・」
ユーリの唇から声が漏れる。・・・あれ?なんかいやらしくね?
さすが色男。やること一つ一つに色気が漂っている。
伊達にエローウェルと呼ばれていないな。呼んだの自分だけど。
ユーリが目を開けるところをじっくり・・・・そう、じっくり見ようと
顔を上にあげた時、同時に唇に押し付けられる何か。
○%▲Д☆И#ш●¶□!!???
「あ・・・?おはよ、ユイ」
「〜〜〜〜〜!!」
「どうした?」
「な、何でもないです!!はい!何でも!!」
「?そっか。ならいいんだけど」
コイツ・・・・。無意識でやったのか、アレを。
乙女のファーストキスを奪うなんて!ひどいわ!!
・・・こういうことを考えられるということは思いのほか大丈夫そうだ。
まぁ、本人気付いてないみたいだし、ノーカウントだろう。
・・・・・・・・チッ!
「何一人で百面相してんだよ」
「あだっ!叩かなくてもいいんじゃね!?」
「手が滑ったんだよ」
「空中で手が滑るわけないでしょ!」
「わりーわりー」
「心がこもってねぇー!」
良かった。ちゃんと普通に接してる。
でもユーリは勘が鋭いからたぶん怪しいことに気付いてる。
このことは自分の心に閉じ込めておこう。
それで、思い出してニヤけることにしよう。うん、そうしよう。
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