一人一題作品 | ナノ
にんじん、きらい?





俺は、ガキの頃あることで
にんじんという食べ物が食べれなくなった
それは、大人になってももちろん変わらず
周りの奴らにからかわれていたが
ある時アイツにバレてしまった


昔の俺ならば、身の上話なんて他人に話さなかったのに
アイツ…小娘にだけは自分の口から
すべてを話していた

それがもととなった、かはわからないが
小娘が気になり、気づけば目で追い
そして、好きになっていた

しかし、明日我が身がどうなるかわからない世の中
俺の側には置いとけない……
そう思い一度は離れた

けれど、明日が我が身にあり
小娘と夫婦になり
そして……

「父様!!」


娘が生まれた


「夕餉が出来たと、母様が呼んでいます」
「わかった行こう」


平和な毎日だ
昔のことも思い出すこともなくなってきていた


「父様、今日は私が作りました」
「そうか、美味しくいただこ……」


目の当たりにしなければ
思い出すこともなかった


「にん…じ…」
「父様?」
「あ、ああ……」


冷や汗が流れる


「もしかして、にんじん、きらい?」
「…っ?!」


娘にだけは格好悪いとこ見せたくない
勢いよく、口に頬張り


「…んぐ……………」
「い、以蔵っ」
「父様?!」


その場で倒れてしまったのだった





にんじん、きらい?





end



■作者よりヒトコト
 この度は、参加させていただきありがとうございます。若干ギャグ混じりですが、子供に良いとこ見せたい父親の顔の以蔵を楽しんでいただけたらと思います。椿桜子《浮舟》


■管理人より
 父様以蔵の魅力にクラッとなった娘さんも多いのではないでしょうか。
こんなに格好イイ彼でも、相変わらずにんじんには倒れちゃうんですね。
がんばれ以蔵!それでこそ以蔵!
桜子さん、こちらこそご参加頂きありがとうございました!



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