こちらは複数の作品の続編です。
かずSide続き部屋にはご用心
ナオSide健全男子
ナカSide勘違いをちょっと
えりちSide悪魔な悪戯
それぞれの作品の最後にお読み頂ければわかりやすいかと思います。
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「おま…どこまでついてくる気だよ」
「お手伝いしたげよかと思って」
悪びれず見上げるえりちに、りんのすけは思わず言葉に詰まった。
「あの声は反則だよねー」
クスクスと意地悪く笑うえりちを引き連れたまま、何とかトイレに辿り着くものの。
「くそ」
生憎、長蛇の列ができていた。
真っ赤な顔のままりんのすけは深呼吸。
「りんくんさ…ああいうの苦手?」
「・・・」
「あんまり、慣れてないんだね」
「・・・」
「もしかして…どうて「ちげーよ」
トイレでの処理を諦めりんのすけは踵を返すけど、えりちの質問攻めにたじたじで。
「ねぇ、あれ何してたかちゃんと見た?」
「るせー」
「先生に何されてたか知ってる?」
「知りたくもねぇ」
りんのすけは“抱く”行為が苦手だった。
中学時代、羨望やら恐怖やら、とかく敬遠されがちで。
彼女に「ヤらせろ」と言ったら「りんくん怖い」と泣かれた事もあって。
そりゃ色んな事を滅茶苦茶やったけど、大事なもんを傷付けるつもりなんかなかった。
それでも溜まるモノは溜まる。
だから大人の女を相手に、処理だけをした。
数だけはこなしたけど自分から何かをする事なんか殆どなくて、“抜かせてやってる”といった夜ばかり。
だから、好きな相手ほど手が出せないのだ。
傷付けるのが怖いから。
傷付くのが怖いから。
そのせいか、そういった行為には敏感で。
祖母の願いを聞いて何とか高校に来てはみたけど、それを機に携帯を捨てた。
携帯を捨てた原因は他にもあったけれど。
女を巡る下らない争いも、力を試す小競り合いも、もうたくさんで。
何かを悟った様な、そんな気持ちでいたのだ。
「あれね、マッサージしてたんだよ」
「は?」
「それなのにあんな声出されて、あの子はよく平気だよねー」
「マッサージ…」
「あれ?りんくん?」
りんのすけは壁に凭れるようにズルズルと座り込む。
「りんくん?だいじょぶ?」
「どうしてくれんだよ、これ」
「どれ?」
「触んなっつの!!」
「触って欲しいくせに」
「やめ…おい!!」
やっぱりえりちは悪魔かも知れない。
りんのすけは逃げる様にその場を後にした。
おしまい。