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WG番外編137その後

 ピ、と携帯の通話を終了させた岳人は、ふるふると肩を揺らしてキッと目の端を吊り上げた。

「お、ま、え、ら、なあああ!」

 羞恥と怒りで顔を赤くしつつ怒鳴りつけると、模擬店のわきから岳人の通話模様をのぞき見していたテニス部の仲間達が色んな表情でわらわらと出てきた。中でもニヤニヤしている慈郎とやれやれと首を横にふる宍戸に岳人はどうしようもなく苛立ったのでとりあえず慈郎に飛び蹴りをくらわし、呆気なく避けられたが華麗に着地して今度は全員に詰め寄った。

「お前らどうしてくれんだよバカあああ!」
「が、岳人落ち着きぃ」
「誘うだけなのになにしてんの〜。マジマジへたれ〜」
「うるせえええ心の準備出来てないときにジローが無理矢理掛けたせいだろーがああ!他の奴らもただでさえいっぱいいっぱいなのに視線で邪魔しやがってえええ!」
「すまんて岳人、つい気になってもうて…!」
「女誘うくらいで何喚いてやがる。なぁ樺地」

 わかんねぇなといった表情で後ろに控えた後輩に同意を求める跡部だったが、樺地は岳人のあまりの剣幕に返事を躊躇う。その間に岳人はギラリと跡部を睨みつけると食って掛かった。

「跡部にはわかんねえよ!チャラいくせに!雄猫のくせに!ナンパ野郎のくせに!」
「…!?」
「コラ岳人!八つ当たりしたらアカンて!跡部がショック受けとるがな!」
「ばああか!ばあああか!」
「あはは!超うけるC〜」

 初めて岳人から受けたただの悪口という言葉の暴力に跡部は衝撃を受けた顔をして固まる。普段なら何とも思わない様な幼稚な言葉なのだが、マジギレの岳人に言葉の中の若干の本気と本音を見たので来るものがあったようだ。が、それでもなお、岳人は自棄になって子供のような悪口を連発しまくった。
 跡部のヒットポイントが地味に削られてゆく中、岳人を宥めようとする忍足と爆笑する慈郎を横目に、宍戸の横にいた長太郎は会話を聞いてああ、と納得したように頷いた。

「向日先輩の恋の集まりでしたか」
「いやまあ、野次馬っつーかなんつーか…な」
「先輩大丈夫ですかね…うまくいくといいですけど」
「まあ、そうだな」

 心配そうに岳人を眺める宍戸と長太郎。その後ろでは他の部員達が片付けをしていた。困ったように笑いながら後輩に指示を出しつつ彼らを眺める滝の横を通り、日吉は苛立ちを隠さずに、騒いでいる部員達に向けて「先輩たちいい加減片付け手伝って下さいよ」と低い声で告げた。それからやっと片付けを再開した部員達の中で、慈郎は落ち着きを取り戻した岳人に近寄って尋ねる。

「で、どうすんの?」
「………何とかする」

 言い切って、顔を引き締めスタスタと先を行く岳人。その顔を見て大丈夫そうだなと悟った慈郎は、一人笑みを零して皆の後を追った。


‐‐‐‐‐‐
おわり。



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