暴れる



平日お昼の郵便局に突如響いた銃声と客の悲鳴。


…から30分後。



「こ、こら!そこのキミ!銃を下げるんだ!」


「えっ、どうして?あっちが先に銃を向けてきたんだし、50vs50じゃない?」



警視庁捜査一課 高木渉。

通報を受けた刑事の中で偶然一番近くにいたため数分で現場に到着。

ただ今人質だったと思われる女性の説得をしています!!!




まず犯人は二人組の強盗だった。

目出し帽を被った彼らは入店するなり窓口の客を押しのけ、銀行の金を出すように脅した。

一人は窓口の係員を、もう一人は店内にいた8人の客を銃で脅し、一か所に集めようとしたのだが、ちょうどその窓口で郵送手続きをしていた女性―工藤シノブ―によってその計画はあっさりと覆される。


若い女性である私を舐めて、こちらを見ることもなく目の前の係員が金を用意するのを眺めている。

大方、震えてじっとしていると思われているのだろうが…。

シノブは他人事のように、ここで一番不運なのは巻き込まれた客ではなく、犯人たちだろうなと思った。


隣の犯人の腕を捻り上げ、銃を奪った後、思い切り壁に向かって蹴り飛ばした。

犯人の捕縛を係員へ指示しつつ自身の鞄から小型の銃を取り出し、客の近くにいる犯人の方へそれを向けた。



「お、お前、なんなんだ!!」



まさかサツじゃねぇだろうな!と1人で焦り出した犯人は、咄嗟に私に銃を向ける。



「貴方、銃は扱ったことある?」


「は、はぁ?」


「すでに手が震えているようだけど、そんなんじゃ的に当てるどころか発砲の反動にすら耐えられないと思うけど。」


「っそんなことやってみないとわからねーだろうが!」


「…じゃあやってみる?私は貴方の左胸に鉛玉を打ち込む自信があるけどね。」


―ここから冒頭の状況に戻る。




ちなみに高木の言葉はシノブの耳には入っていない。

今では人質になろうとしていた客も、瞬きをせず見守っている。



…シノブがトリガーを引くのと、高木がシノブに手を伸ばすのは同時に見えた。


次の瞬間犯人の悲鳴が上がり、左胸に赤い花が咲く。




「だ、誰か、至急救急車を!!」



高木は周りの客に素早く指示をし、シノブの腕を掴み睨んだ。



「なんてことをするんですか!」


「何って…事件は解決、犯人は逮捕できた。万々歳じゃないですか。あ、あと救急車はいりませんよ。」



怪我人も、犯人以外いません。

そう言ってにっこりと微笑む。



「さて、早く事情聴取されて私は帰りたいんだけど、手、離してもらえますか?」


「何を…!!銃刀法違反だけでなく…これは殺人ですよ!」



高木があまりにも強く手首を掴むので、少し手首が赤くなってきた。

今日は夕食を安室さんと一緒する予定なのだが、このまま跡が残ると彼が心配してしまう。



「あのね、刑事さん。犯人が気絶しているからバラすけど、これはペイント弾ですよ。」



犯人撃退も兼ねてるから、超痛いですけど。









(あ!おっそーい、美和子!)

(シノブ!?アンタまた事件に巻き込まれたのね?)

(知り合い!?…佐藤さん〜、オレにも説明してくださいよ〜)

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