悪霊がいっぱい!?1
私の名前は工藤シノブ
杯戸町に一軒家を建てて気ままに暮らす25歳、ちなみに独身。
職業は主に巫女。
依頼があれば除霊も行うけれど、お札やお守りを作るのが得意なので、通販サイトを立ち上げて、そこからも収入を得ている。
あと、霊媒師でもあるため、口寄せが得意だ。
しかしあんまり見たくないものもたくさん見てしまうので良いとも言い切れない。
そして今私は、今回依頼のあったとある高校の校門前にいた。
「…確か旧校舎って言ってたなぁ」
旧校舎って…どこ。
というかこういうのは先に校長室とか行ったほうがいいのか…。
「ああ!貴女様はもしや霊媒師の工藤様ですか?」
「ああ、はい。本職は巫女なんですけどね。あ、いや、今はあんまり神社に行ってないし、お守り作る趣味がある霊媒師かな」
足早に昇降口から出てきた初老の男性。
おそらくこの人が依頼人の校長だろう。
一歩後ろにはこの男より少し若いと思われる男性も付き添っている。
「私が依頼したこの高校の校長です。こちらが教頭…。さっそくですが、案内させていただいても?」
「ええ。よろしくお願いします。」
忙しなく目をきょろきょろさせた校長が早足で前を行く。
シノブは気にする様子もなく校舎や中庭など敷地全体に視線を巡らせた。
「…特に新校舎などは気になる気配はなさそうですが…言っておられた旧校舎だけなんですか?心霊現象が起こるというのは…」
「え、ええ…さすが高名な霊媒師様ですな。すぐにわかるものなんですか。」
「気配だけなら。ですが平常時から普通に感じるものなので、以外と不便ですよ、この能力も」
あはは、と笑って返すと、私の隣を歩いていた教頭がさっと顔色を悪くした。
「こちらです。ああ、皆さんお揃いのようですな…。」
「…みなさん?」
なんのことだ、と校長の後ろから顔を出すと、確かに、旧校舎と思われるボロい建物の前に5〜6人勢ぞろいしている。
男4人と女子高生1人。
女子高生がこちらを指さし、校長!と叫んだ。
「皆さま、こちらは霊媒師の工藤シノブさんです。工藤さん、こちらはお呼びした霊能者の皆さまです。」
「はぁ…なるほど。とんでもない悪霊がいるとの見解ですね。」
「いやはや…私どもとしても早く取り壊しを始めたいもので…」
じろり、と睨むと冷や汗を流して取り繕ってくる。
まあ別に、何人同業者がいようと構いはしないけれど。
「では、頼みましたぞ」
「はい。またご報告に行きます。」
ひらひらと愛想よく手を振り、教員たちを見送った。
「さて、いまご紹介に預かりましたが…工藤シノブです。よろしくお願いします。」
「工藤って!!工藤シノブって!!有名な人じゃん!私も知ってる!」
女子高生が目をキラキラさせてこちらに走ってくる。
そんなに有名かな?あんまりTVには露出しないようにしているけど、確かこの間ファッション誌に私の特集記事が載ってたっけ。
…ファッション誌に載せて需要があるとは思えないけど。
「工藤さんって、巫女さんって聞いてたんだけど、ほんとですか?」
「ええ。そうね、あんまり最近神社は行ってないんだけどね」
「…でもあんまり巫女さんには見えないですね」
彼女の視線を感じ、私は自分の服装を見直した。
今日の服装は水色のノースリーブの膝下丈ワンピースに大きなつばのある白い帽子。
一応、靴だけはローヒールのミュールにしておいたのだけど。
「そうね。あんまり巫女服着てうろうろはしないのよ。」
そう言うと彼女は納得したかのように頷いた。
「麻衣、彼女も仕事で来ているんだ。無駄話は邪魔なだけだ。」
「む!わかってるよーだ!」
奥にいた男の子が彼女を呼ぶ。
なるほど、麻衣ちゃんと言うらしい。
そしてその口ぶりからして、二人はペアで仕事をしているんだろうか。
「あ!私は谷山麻衣!ここの高校の1年生です。」
「そう。麻衣って呼んでも良い?」
「もちろん!私はシノブさんって呼ぶね!」
二人の間に花が飛んだところで、再度後ろの男の子に鋭い声で呼びつけられた。
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アンケのコメみて、よし書くかと筆を取りましたが、まだ降谷さん出てません。
漫画にすると同じコマにはいます。
喋ってないだけで。笑
亀更新と思われます。
のってるときはいっぱい書きます。