今年こそは二人きりで、って思ってた。
だけど今年も、二人きりにはなれなかった。
みんながいて楽しいから、それはそれでいいんだけれど。
それでも……それでもやっぱり、二人きりになりたいって、心から願ってる。
街灯と月が照らす夜道を、私は了平と二人で歩く。
行きと今だけは、二人きり。
「今年も、二人じゃ回れなかったね」
「そうだな」
私も了平も、浴衣姿。
そう、私たちは夏祭りに行っていたのだ。
去年は二人で行ったら、京子や花やハル、ツナくんや武たちに会場で出会って、どういう訳かみんなで回ることになった。
隼人は、めちゃくちゃ不満そうだったけれど。
「来年こそは、極限に二人で回りたいものだな」
「うん。だけど、」
「だけど、何かあるのか?」
「ああやってみんなで回るのも、楽しいよね」
そうだな、と言って、私の意見に賛成してくれる了平。
ふと了平を見上げてみると、笑ってくれた。
それがなんだかとっても嬉しくて、思わず了平に抱きついた。
「どうしたのだ真白」
「なんだか嬉しくって」
嬉しい?と首を傾げた了平に私は、笑ってくれたことだよと、説明をする。
ぎゅっと抱きしめ返してくれた腕が温かくて、また嬉しくなる。
自然と頬が緩んでしまう。
きっと顔、赤くなってるだろうなぁ、なんて思った。
「そうだ真白」
「ん?」
「今日家(うち)に泊まっていかんか?京子も、真白と話がしたいと言っておったぞ」
「いいの?」
了平から離れて、顔を見上げてみると、いつものように、もちろんだ!と言われた。
せっかく誘ってくれてるし、断るのも何だから、快くおーけーした。
京子とも話したいし、何より了平と部屋で二人きりになれる。
そして何と言っても笹川家のお料理!
武の親父さんのお寿司もとっても美味しいけれど、笹川家のお料理も負けず劣らず美味しいんだ♪
「了平、ありがとう」
「ああ」
また了平に、ぎゅっと抱きついた。
嬉しいと思ったときに了平に抱きつくのが、なんだか癖みたい。
その後、笹川家にお邪魔した私が、了平と部屋に二人きりで甘い時間を過ごしたのは、また別のお話である。
(2009.08.28)
遅れましたが了平お誕生日記念でした!