山本くんと二人、部屋の中に残された。

男二人女二人の計四人でカラオケに来たのだけれど、トイレだと言って二人とも出ていった。


私が歌い終わると、テレビからはカラオケ特有のCMが流れ出す。

てっきり山本くんは早くに曲を入れていたのだと思っていたが、どうやら違ったようだ。



「次、山本くんだよ?」

「なぁ真白」

「な……何?」

「アイツら、しばらく戻って来ねぇだろうな」



山本くんの発した言葉の意図がわからない。

二人がしばらく戻って来ないって、どういうこと?


少し首を傾げると山本くんがだんだんと近づいてくる。

ますます訳が分からない。



「山本、くん……?」

「せっかく真白と二人きりなのな、」

「……っ!?」

「これくらいのこと、しとこうぜ」



たった一瞬だけ、唇が触れ合う。


まだ目の前にある山本くんの顔は焦点が合わなくてぼやけて見えるけれど、それでも妖艶な表情をしていることだけはわかる。

足の先からゾクリと何かが全身を駆け巡って左手をぎゅっと握った。


もう一度ゆっくりと押し付けられたそれは柔らかくて、甘くて、固く瞑った目の力をそっと緩めた。

いつの間にか山本くんの左手は後頭部を支えていて、右手は私の握った左手を包み込んでいた。

次第に深くなっていくキスに応えるのが精一杯。


甘すぎる初めての感覚に頭は真っ白になって溶けそうになってしまう。



「好き」

「やま、も、と、く……」

「真白が好き」

「私は、」



さっきまでの噛み付くような深い口づけとは打って変わっていつもの爽やかな笑顔になる。

戸惑いながらも笑い返してみると、ぐっと抱き寄せられた。

不意に首筋を舐められたかと思えばすぐに離れて、そろそろだなと呟いて曲を入れだした。


その後数分で二人が戻ってきた。

私がどうなったかは言うまでもない。



(2012.04.24)




武くんお誕生日記念でした!



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