ノックをして失礼しますと言い扉を開ける。

左手には出来立てのチョコレートマフィンと微糖のチャイが乗ったお盆。


目的のボスは私をちらりと一瞥しただけだった。



「ボス!お誕生日おっめでとうござーいまーす!」

「……何だ?」

「アレ、やっぱり誕生日忘れてました?」

「あぁ」



素直に忘れていたことを認めたボスが余りにも可愛かった!


マフィンの乗ったお皿とチャイの入ったカップをテーブルの上に置く。

お盆は近くに避けておいた。


豪勢な椅子に座っているボスの腕を無理矢理引っ張ってソファに座らせた。

珍しくボスは何も言わないし怒りもしない。



「私からの誕生日プレゼントです」

「マフィンと、……?」

「はい、チョコレートマフィンと微糖のチャイです。ボス、あまり紅茶は飲まないから。ストレートよりミルクの方が合うかなと思ったのでミルクにしました」

「……あぁ」



ボスなりにありがとうと言ったのだろうと勝手に解釈をした。


しばらくそれらを見つめたあと、ボスはマフィンを手にとって食べた。

美味い、そうボソリと呟いて黙々とマフィンを食べていた。

どうやらチャイも気に入ってもらえたみたいだ、やったね!


完食すると美味かったともう一度言ってくれた。



「真白、」

「何で、す……ん」



ボスの隣に座ってただ見ていたら、突然のキス。

ソファに押し倒され尚も続く。

ゆっくりと深くなっていくのを感じながらボスに全てを任せた。


ちゅ、とリップ音を鳴らして唇が離れたときには少し息が上がっていた。

何故かじっと見つめ合う。



「相変わらずですね」

「だが嫌じゃねぇんだろ、真白は」

「ボスが大好きですから」

「はっ、大好きで留めるなんざ真白らしくもねぇ」



そういえばいつもは愛してるって言ってたなと思い出す。

何だか今はそれよりも大好きの方が合うような気がした。

だからそう言ったまで。


敢えて口にはださなかったけれど、私の真意をボスは何となしにわかってくれたみたいだった。



「真白……」

「そんな甘ったるい声で呼ばれたら、私溶けちゃいますー」

「真白の声も十二分に甘ったるいがな」

「普段は色気のない声だとか、言ってるじゃないですか」



色んなところを唇や手で触れられ、その触れられた場所から熱くなる。

熱を帯びて疼き出すから思わずボスを求めた。

ボスはそれに応えてくれた。


求めていなくてもそうなってはいただろうけれど。



(2012.03.08)




遅すぎですがXANXUSお誕生日記念でした!



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