「どうして僕が看病されなきゃいけないの。それも君に」
「知るかボケ。母さんに聞け」
「家の前を通りかかったら、急に無理矢理連れ込まれたんだけど」
「てめーがふらついてるからだろ。ほら、早く口開けろって」
「僕は群れるのは嫌いだよ」
「知ってるっつの。俺だってお前の看病するのは嫌なんだ」
「じゃあ何で看病しようとしてるわけ」
「母さんに押し付けられたんだよ。だから、さっさと食って、寝ろ」
「君に命令される筋合いはないよ」
「いちいちうるせー奴だな。黙って食いやがれ」
「……おいしい」
「あ、本音」
「僕は何も言ってない」
「はいはい、そーですか」
「何、その態度。気に入らないんだけど」
「気に入られなくて結構」
彼は彼女の母が作ったお粥を全て食べ、もう一度ベッドに寝転んだ。襲い来る睡魔に抗わずに眠りにつこうとしたとき、扉の音が聞こえてそちらを向くと、彼女が出ていくのが見えた。
「真白、」
「……恭弥?」
「いか、ないで、」
「すぐ戻ってくっから。大人しくしてろよ」
「嫌だ」
「はぁ……。たく、わがままな奴だな」
「真白」
「何だ?」
「真白……」
「寝てやがる。本当は甘えてぇんだろうな、恭弥は」
真白は恭弥に布団をかけ直し、お盆を持って部屋を出た。台所へそれを運ぶと、また部屋へ戻りカーテンを閉めてベッドの側に腰を下ろした。
子守唄でも歌ってやろう。
早く良くなるように。(聴こえたよ、真白の歌)
(恭弥お前、起きてたのか?)
(ほとんど意識はなかったよ)
(ふぅん……まあいいや。で、どうなんだ?調子は)
(……うん、良くなったみたいだ)
(俺のおかげだな。感謝しろよ)
(そうだね、今回は真白に感謝するよ)
(素直な恭弥だ……)
(2011.07.21)
遅くなりましたが恭弥くんお誕生日記念でした。