呆れて物も言えなくなるくらいにしつこい奴がいた。名前は真白、毎日毎日僕のもとへ現れては何をするでもなく色んな話をするだけして帰っていった。時には僕に色んなことを質問してきた。だけどそんな真白が。
「恭弥?」
「何」
「好きだよ」
「僕も好きだよ、真白」
こんなことになるとは予想もしていなかった。二年間ずっと真白に付き纏われて、嫌でも色んな真白を知った。だけど知らぬ間に募った想いに気づかなかった僕はただいらいらして、真白に八つ当たりをした。そうしたら真白に言われたんだ。
「本当に恭弥、自分の想いには疎いのね」
「そんなことないと思うけど」
「私が言うまで私を好きだと自覚してなかったのは誰?」
「……真白、」
クスクスと笑う真白に低い声を出す。尚も真白は笑うから思い切りキスをしてやった。応接室のソファに押し倒しながらもキスを続ける。真白に抵抗はない。ここで止めて、からかってやろう。僕は決意して唇を離した。
(2012.03.19)