僕は真白の部屋へ急いだ。あれが事実ならば……一刻も早く戦いをやめさせなければならない。じゃないと真白は――。ノックもせずに真白の部屋の扉を開く。真白は呑気に歌なんて歌っていた。
「真白!余命あと三年って本当なの?」
「ああ、そのこと?」
「何を呑気に!本当なら、今すぐ戦うのを、」
「私の余命が医者になんてわかるわけがないわ。私以上に私を知る人はいないもの」
真白は相変わらずだった。自分以上に自分を知る人はいない、昔からずっとそう言い続けていた。時には友人の方がわかることもある、ということもわかっていたけれど。僕は真白を衝動に任せて抱きしめた。
「だけど……」
「それにアレンが死する時こそ私の死よ。だからって、私が死する時がアレンの死ではないけれど」
「変わらないね、真白は」
「当たり前よ。すぐに変わる人なんて、すぐに死ぬわ」
余命を否定してくれて安心した僕がいた。何故だか涙が溢れそうになって真白に口づける。しばらくして唇を離すと、真白はいつもの顔で笑っていた。今度は真白が優しく僕を抱きしめてくれた。
(2012.03.15)