そして日付は変わった。修兵さまとの七日目。私たちは黙って見つめ合っていた。修兵さまに拭ってもらったことで涙はもう止まっていた。ゆっくりと修兵さまの顔が近づいてきて、私は目を閉じた。
「葉鈴……、聞いてもいいか?」
「うん」
「葉鈴は、俺が好きか?」
「……好きだよ。大好き」
そっと目を開けると修兵さまは私をじっと見ていた。ぼやける視界の中でもそれだけははっきりとわかった。だから私も同じように修兵さまを見つめ返した。
「私も、聞いてもいい?」
「ああ」
「修兵は、私が好き?遊びじゃない……本当の意味で、好き?」
「好きだ」
真剣な瞳に、真剣な声。修兵さまは本気で私を好きになってくれたんだと思った。こんな短い期間で、とも思うけれど、だけど好きになるのって時間とか期間の問題じゃないように感じる。
そして、静かに唇が重なった。
「修兵、あの、これ」
「何だ?」
「ペンダント。いつか元の世界に帰っても、私と過ごした証にしてほしくて……」
「サンキュー、大事にする。つけてくれるか?」
頷いて、修兵さまの後ろに回る。そっと首にかけて金具を止め後ろから覗き込む。と、修兵さまが振り返った。どうだ?と聞くから笑って似合ってるよと伝えた。修兵さまは頬を赤くしながらもありがとうと言ってくれた。
「じゃあ俺からは、死覇装、やるよ」
「でもあれは……」
「向こうに何着も替えがあるから大丈夫だ。俺がこの世界に、葉鈴の隣に存在した証にしてくれ」
「……うん、わかった。ありがとう」
もう一度、口づけ。互いの想いを確かめ合ってから私のベッドで一緒に眠りについた。起きたときに修兵さまがいなかったらという不安に駆られたけれど、修兵さまが大丈夫だと言ってくれて私はそれで夢の中へと誘われた。
「葉鈴」
「ん……」
「葉鈴、起きてくれ」
「修兵……?」
どれくらい眠ったかはわからない。だけどそんなに時間は経っていない気がした。修兵さまの呼ぶ声で目が覚めて彼を見ると、体が透けていた。もしかして……修兵さまは帰ってしまうの……?
「俺、戻っちまうみたいだ」
「そんな……」
「葉鈴、忘れるな。向こうに帰っても、俺はお前が好きだ。絶対にこっちでの日々を、葉鈴を忘れねえ。だから##NAME1##も俺が存在したことを忘れないでくれ」
「わかった。約束する」
私はふと思い立って、修兵さまが使っていた部屋へ急いだ。修兵さまの為に買った服を持って部屋へ戻ると、そこに修兵さまの姿はもうなかった。涙が頬を伝い、その場に崩れて……服をぎゅっと抱きしめた。
「修兵……修兵……っ」
「泣くなよ、葉鈴」
「どこにいるの……」
「お互いが想い合ってれば、必ずまた会える。信じろ、葉鈴」
どこからか修兵さまの声が聞こえて、私に告げた。それでも涙は止まらなくて、だけど修兵さまの言葉を信じようと強く思った。いつか必ず会える……私は修兵に会いたい。修兵も、そう思ってくれているんだよね?