次の日目覚めると、何だかいい匂いが漂ってきた。脳がイマイチ回転しないままにリビングへ行くとテーブルの上には料理が。不思議に思うこともなく洗面所へ行き歯を磨いていると、はたと気がついた。
「修兵さま!?」
「さま?おはよう、葉鈴」
「お、おはようございますっ修兵さま!」
「さまって何だよ、さまって。葉鈴寝ぼけてんのか?」
驚きすぎてつい口走ってしまったけれど、修兵さまは私が寝ぼけているのだと思っているようだ。そのままにしておこう、うん。しばらくして席に着き朝ごはんをいただいた。修兵さまの手料理だぜ!すっげえ美味しいよ!疑ってたわけじゃないけど事実だったんだな!
「なあ、葉鈴」
「んー?」
「お前今、下着付けてないよな?」
「は!?え、ちょ……!」
洗い物をしていると背後から胸を鷲掴みにされる。戸惑ってお皿を落としそうになったけれど何とか堪えた。修兵さまは私の髪を耳にかけ左側へと流す。あらわになった耳を甘噛みされた挙句首筋にキスまでされた。
「洗い物は俺に任せろよ」
「え、いや、でも……」
「葉鈴は可愛いしスタイルもいいから、そんな格好でいられると襲いたくなる」
「……わかりました」
真剣な声で言われたから本気か冗談かはわからない。とりあえず襲われては困るからと部屋へ戻りパジャマを着替えた。再びリビングへ行くとソファに身を投げ出す修兵さま。思わず見とれていると手招きをされて何だかんだで何故か膝の上に座る。
「冗談、だと思うか?」
「わからない」
「俺は本気だぜ?葉鈴が可愛いってのも、事実だ」
「……っ」
唇が触れ合う寸前で言葉を紡がれる。顔は全く見えないけれど本当にまじめに言っているんだということは、はっきりとわかった。昨日以上に心臓がうるさくって息が上がりそうだ。このままキスがしたいと、思った。
「まあ葉鈴にその気がなかったら、俺が本気でも意味ねえんだけどな」
「へ……?」
「必ず。葉鈴を落としてやる」
「必ず……だよ?」
修兵さまは私から離れて、自信満々の笑顔で言う。その顔が余りにもきれいでかっこよくて、もう落ちたよと伝えたくなった。だけどまだ隠しておこう、本当に修兵さまが私を好きになってくれるまで。