コトリと小さなホールのザッハトルテの乗ったお皿を海燕の前に置く。

それを見た海燕は美味そうだな!とテンションが上がっている。


そんな海燕が可愛くてクスリと少しだけ笑ってしまった。



「チョコレートケーキだよな?」

「うん、そうなんだけど」

「何か変わった名前があるのか?」

「変わってはいないけど、ザッハトルテって言うの」



海燕に蝋燭を手渡す。

死神の年齢で蝋燭を立てていたら穴ケーキになってしまうから、見栄えがいいようにと大きいのを三本と小さいのを三本もらってきた。


意外とすんなりと袋を開けてケーキに蝋燭を立てていく。

形に沿って、海燕から見て奥に大きいの三本、手前に小さいの三本。


ライターでそれに火をつけて電気を消した。



「あのね、海燕」

「どうした?」

「お願い事をしてから蝋燭の火を一回で消すと、そのお願いが叶うっていうジンクスがあるの」

「へぇ、真白の世界じゃそんなのがあるんだな」



二人分の紅茶も机の上に置く。


目を輝かせる海燕が本当に可愛い。

名前を呼んでキスをした。

すると海燕は座ったまま私をぎゅっと抱きしめた。

少しして離れると海燕の隣に座った。



「決まった?」

「ああ。真白と死んでも一緒にいれますよーに!」

「海燕……!」

「向こうの世界も大切だけど、みずきの方が大切だからな」



大きく音を鳴らして両手を合わせて海燕は言った。

驚いていると私の方を見ていつもの笑顔を向けられた。

そして一気に火を吹き消す。

蝋燭の火は一度で全て消えて、私は電気を付けた。


突然抱きしめられる。



「これで、ずっと真白と一緒にいられるな」

「そうだね、ありがとう海燕」

「俺、本当に真白が好きだ」

「私も海燕が大好きよ」



その後はケーキを半分に切って二人で食べた。

海燕の世界の話をたくさん聞かせてくれた。



(2012.03.08)




遅すぎですが海燕お誕生日記念でした!



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -