「トリック オア トリート!」
「……?」
ノックもせずに副官室に入って海燕にそう言うと、海燕は眉間に皺を寄せてぽかんとしてただ私を見た。
「現世ではね、10月31日はハロウィンって言うんだって」
「はろうぃん?」
内容は私も詳しく知らないんだーと言えば今度誰かに調べさせておこうという結論に至った。
「で、トリック オア トリートっていうのは、お菓子をくれないと悪戯するぞって意味なんだよ」
「だから俺にお菓子をくれって?」
せいかーいと笑顔で言えば、海燕は机の中をごそごそ漁って飴ちゃんを私にくれた。さっそく私は袋をとって口に入れる。だけど、
「じゃあ真白、俺からもトリック オア トリート」
「……う、」
まさかトリック オア トリート返しされるとは考えてもいなかった!どうしよう私お菓子なんて持っていないぞ!
「ねえのか?」
「ない、です」
正直に言えば海燕は私に口づけをしてきた。それも深いやつ!かと思えば私の口の中の飴ちゃんを器用に舌で持っていかれた。
「私の飴ちゃん!」
「お菓子ねえなら悪戯していいんだろ?」
反論出来ない私。仕方なく私は名残惜しい気持ちを抑えて海燕に従った。大好きなりんご味の飴ちゃんだったのに!
「真白、」
「んー?」
欲しいか?と訊かれ頭にハテナマークを浮かべているとまたもや海燕にキスをされた。悪戯って絶対これだよね!今度は触れるだけかと思っていたら強引に舌が入ってくるのと同時にりんご味が口一杯に広がった。
「俺が真白にやった飴だからな」
「ありがとう海燕大好き!」
だけどその後も海燕は私に色んな悪戯をしかけてきた。今度美味しいお茶菓子でも買ってきて一緒に食べようと私は決意した。
(2010.10.27)
海燕お誕生日記念でした!