「真白!!」
戦いを好まずとも、戦わなければいけないときは来る。
家族を護る。友達を護る。仲間を護る。好きな人を、護る。
護りたいものがあるなら。
護るべきものがあるなら。
護らなければならないものがあるなら。
いつの日か、必ず戦わなくてはならない。
そう、戦いを望まずとも。
「大丈夫か真白!?」
「だい、じょうぶ……」
戦いを楽しんではいけない。
戦いに喜びを感じてはいけない。
戦いを好んではいけない。
戦いに酔ってはいけない。
私の中で、そうやってルールを決めている。
「待ってろ真白。すぐ尸魂界に「いいの」
「真白?」
「私は、死なないから」
戦いを好む人を、嫌っているわけじゃない。
寧ろ、認めている。
世界には色んな性格の人がいる。
私みたいに戦いを嫌う人もいれば、戦いを好む人もいる。
戦いを遊びとしか思っていない人もいるだろう。
「でもこのままじゃ真白、」
「さよならは、嫌いだから」
私はどれだけ戦いを憎み、恨み、嫌悪してきただろう。
どれだけ戦いを憎んでも。
どれだけ戦いを恨んでも。
どれだけ戦いを嫌悪しても。
私は、戦いを好む人より、多く戦いに巻き込まれた。
「真白、」
「私を、信じて、海燕」
だけど私は、逃げたりしなかった。
戦いと戦ってきた。
逃げたくなかった。諦めたくなかった。
ただ私は――。
「真白、また、会えるよな?」
「当たり前、じゃない」
沢山の大切な人を、護りたかった。
沢山の大切な人を、失いたくなかった。
一人でも、大切な人を失うのなら。
それなら私の命と引き換えてでも、大切な人を護る。
「必ずまた、会えるから」
戦いを嫌っていたからこそ、私は戦いと戦ってきた。
戦いを嫌っていたからこそ、私は戦いと戦ってこれた。
戦いを嫌っていたからこそ、私は大切な人を護れた。
「私たちは、また会えるようになっているから」
「約束、だからな?」
「もちろん」
死ぬときは、大切な人を護って死ぬ。
私は、そう決めていた。
必ずまた会える保証なんて、どこにもないんだ。
今私が死なない保証なんて、どこにもないんだ。
でも、私は。
信じていたらまた会えるって。
信じていたら死なないって。
そう、思っているから。
(2009.05.26)