「知ってっか?真白」
「何を?」
「今日、現世では“クリスマス”って言うんだぜ」
「くりすます?」
「ああ。イエス=キリストって人が生まれた日で、パーティーとかしたりして祝うんだとよ」
「へぇ、楽しそうだね。私たちもやろうよ!」
そんな会話をして、クリスマスを修兵に教えてもらってから、今日で五年になる。
今までずっと、12月25日にはクリスマスを二人で祝って、プレゼント交換をしたりした。
もちろん今年――今日も、修兵と二人きりで過ごす。
互いに必死で仕事をして、今日は非番にしてもらった。
今はまだ隊が違うから、同じ日に非番を取るのは結構簡単だった。
「わぁ、ねぇ修兵!雪だよ雪!雪が降ってるよ!」
「そりゃ寒いわけだな。はしゃぎすぎて怪我すんじゃねえぞ、真白」
はぁい、と私は返事をして、雪の上を走り回った。
今日はなんてラッキーなんだろう、クリスマスの日に雪が降るなんて。
「きゃっ!」
雪の上を走り回っていたら、滑ってしまった。
「だから言っただろ?ま、真白になんかあったら俺が助けるけどな」
「ありがとう修兵」
見事に修兵が、雪の上に人の形をつけそうになった私を支えてくれた。
修兵はかなり寒そうだ。
私も寒い。
「家、入ろっか」
「そうだな」
すぐ其処にある修兵の家に入る。
修兵の家は、意外と片付いていて綺麗だ。
……と言うより、物が少ない?
「真白」
「……ん、」
呼ばれて振り返ると、突然修兵にキスをされた。
「ほら、ケーキだ。チョコでよかったんだよな?」
「うん!」
修兵は、箱からケーキを取り出して、手際よく切り分けていく。
いつも思う。
修兵は凄いなぁって。
死神としての戦闘能力や鬼道の能力はもちろん、料理だって出来るし。
事務とかの仕事も手際よくやってのけるし、それに本当に優しい。
「よかったな、真白。今年はホワイトクリスマスになって」
「ほわいとくりすます?」
「クリスマスの日に雪が降ったら、現世では“ホワイトクリスマス”って呼ぶんだ」
「そうなんだ!なんだかロマンティックだね」
修兵は、ああ、と一言返事をすると、また私にキスをした。
その日修兵は、少し会話をする度に私にキスをした。
嫌だったわけじゃない。
寧ろ嬉しかった。
だって修兵が好きだから。
その日の夜、私は修兵の腕の中で眠った。
夢の中へ堕ちる前、修兵は私の耳元で囁いてくれた。
「真白、愛してる」
(2008.12.31)