その日は夕方から二人はオフだった。 春歌は 数ヶ月に渡り 作ってきた大仕事の 納入がちょうど終わり、 蘭丸は新たな映画の出演が決まった。 その二つの意味を含んだお祝いということで 春歌は奮発して少しいい肉を スーパーから買ってきていた。
スーパーから戻り 料理を始めようとすると 出かける前にから台本を読んでいた蘭丸が 未だに台本を読み続けていた。 休憩時間に夕食が食べれるように 春歌は夕食を作り始めた。
料理も盛り付けも終わると 黙々と台本を読み込んでいる蘭丸の姿を 春歌は正面から見ていた。 春歌は集中している蘭丸の 真剣な表情が好きだった。 歌詞を考えているとき、 台本を読んでいるとき、 そして、 出演する音楽番組の進行表を見ているとき。 その視線は刺すようでありながら どこか温もりがあり 春歌は見とれてしまうのだ。
だが、読み始めてから あまりに時間が経ちすぎている。 夕食も先程できたが 少し冷めそうになっていた。 「一回休憩いれませんか」 声をかけられ蘭丸が気がつくと 机の上には色とりどりの 夕食が並べられていた。 「悪りぃ、先食っててよかったのに」 そう言うと春歌は 「いえ、蘭丸さんと食べるのが好きなんです」 と笑顔で返す。 一人で食べるより 二人で食べた方が 美味しいのは事実だ。 「今回はどんな役なんですか」 あまりに集中していたので…と言われると蘭丸は 「進化侵略体っつー敵と戦って地球を守る戦士の役だよ」 主人公じゃないんだけどな と零すが 主人公は女なのでそこは仕方ない。 「特撮ですか」 ウルトラマンみたいですと春歌が言うと 「あぁ。しかも、今回はスタントマン無しでやることにしてるんだ」 と言うと 「ケン王の時の翔くんみたいですね!」 と春歌と同期の男性アイドル名前が 彼女の口から出たことに少し妬くが、 春歌の 「うわぁ…!完成楽しみにしてますね!!」 という嬉しそうな声によって その嫉妬さえも打ち消される。
春歌の作ってくれた ロコモコ丼への箸が 半分ほど進んだ頃、 蘭丸は再び口を開いた 「俺がやるジャックって役と主人公がな」 春歌もロコモコ丼から蘭丸に視線を向ける。 「俺とお前に似てるんだよ」 きょとんとしている春歌はかわいいが よくわかっていないようなので 説明することにした 「出会った当初はツンケンしちまうけど、最後は惹かれ合うんだ」 と言うと春歌は顔を赤らめた。 このいつまでも初々しい反応は 春歌の可愛いところの一つなのだ。 「ただな キスシーンがあるんだよ」 春歌は えっ と言いそうに なっている表情になっている。 それも、仕方ないのだが。 アイドルは俳優もやる。 その上でキスシーンが あるということは アイドルと付き合うと決めた 最初から覚悟すべきことだった。 その覚悟が 春歌には少し 足りていなかったのかもしれない。 でも、蘭丸の唇さえも 独り占めできないことへの もどかしさもあった。 「これから俳優をやって行く上で、 もっとすごいシーンもあると思う」 春歌の心の中を読んだかのように 蘭丸の口からその言葉が出てくる 「それでも隣を歩いてくれるか」 まっすぐに見られれば こう答えるしかないだろう 「はい」 笑顔を作れただろうか と考えていると 向かいに座っていた蘭丸が徐に隣にきて 「わかってねーだろ」 と口にしながら肩を抱いてきた。 「俺の心の中には、お前しかいねーんだよ」 わかってたことだけど 何度も言われたことだけど 改めて言葉にされるとこそばゆい。 「私の心の中にも、蘭丸さんしかいませんよ」 自分ばかり真っ赤になっていては 恥ずかしいので 仕返しとばかりにそう言うと 彼の耳も真っ赤になっていた。
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あとがき
このサイトでは初うたプリかな? ノブナガンの切り裂きジャックを 蘭丸が演じてたら という妄想です/(^o^)\ アダしお が少ないので 書こうと思ったら 蘭春になっていた 笑
ちなみに題名の日本語訳は 「銀髪の偉人」です。 Google翻訳で調べました←
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