ピンポーンと誰かが来たことを表す。急いで出てみればそこには見てはいけない物が居た。思わず扉を閉めてしまうほど。
「ちょちょちょ、閉めないでよ。せっかく来たんだから入れてよ?」
そう言って俺の恋人、……折原臨也は俺の家へと入ってこようと扉をドンドンと叩いている。いつもと同じ格好だったらすぐ入れたさ。なんでそんな格好で居るんだ。
「その格好なんだ?」
「なにってサンタだよ?」
「なんで?」
「なんでって今日はクリスマスだからだよ。そんなことも知らないの?」
なんて臨也は嘲笑うように言っているが俺が聞きたいのはそんなことじゃない。さすがの俺だってクリスマスくらい知ってる。
「……んで、女物のサンタなんだよおおおお!!!」
「その方が静ちゃん喜ぶかと思って」
へへへって照れながら言ってる。かわいいな……じゃなくて、100歩譲ってサンタコスは許そう。なんで、なんで女物なんだよ。普通に男物で良かっただろ。てか、今それを着てるってことはいつ着替えたんだ?
「それいつから着てんだ?」
「え?家からだよ?」
なに聞いてんの?当たり前でしょみたいな顔するなよ。それ違うから。
「それで、どうやって来たんだ?」
「電車だけど」
「電車をそれで乗ったのか?」
「家から着てるんだから当たり前でしょ?」
「上から何か羽織ったりしなかったのか?」
「最初はそうしようと思ったんだけど結構暖かくてさ、これ」
作った奴誰だ。もうちょっと薄くしろよ。暖かくする気遣いなんて要らないんだよ。こんなのちょっとの間しか着ないんだから。
「そんなこといいから、入れてよ?ほら、静ちゃんの好きなプリン買ってきたんだから!!あとフライドチキンも買ってきたからパーティーしようよ」
はい、とプリンとフライドチキンが入った箱を渡したあとプリンに気をとられていた俺の横をすり抜けていき家へと入っていった。まぁ、仕方ない。プリンがあるなら許すしかないか。あんなかわいいサンタコスした臨也を他の奴に見せるなんて許せないしな。帰らせることなんてできない。つか、あいつさっき電車で来たとかほざいたよな。なら、このサンタコスを見た奴が居るってことだよな。殺してぇ……今すぐ殺しに行きたいが今から臨也とパーティーするから臨也が寝たら殺しに行こう。そう決意し俺は臨也が待っている部屋へと戻っていった。