言わせたい!









いつも俺からなんだ。
て言うか俺、静ちゃんから聞いたことない。え、愛されてないの俺?その事に気付いた俺は想像以上にへこんだ。
¨好き¨って言葉もそうだけど、名前もたいして呼ばれてないかも。
いつも¨手前¨とか¨ノミ蟲¨とか。名前呼ばれるときって、だいたい喧嘩する前だったり。俺、名前さえも呼ばれないとかどうなの。
なんか悔しくなってきた、絶対名前と好きって言わせてやる。そんな闘争心にも似たようなものを燃え上がらせていた。
そうと決まれば、さっそく池袋に向かう。


「静ちゃあああああん」

「なんだ、ノミ蟲じゃねえか。何のようだ」

さっそくノミ蟲呼び。なんで名前じゃないのか不思議で仕方ない。俺だったら好きな人の名前なら何十回だって何百回だって呼びたいのに。つか、恋人に対して¨何のようだ¨って酷くない?俺は何時だって静ちゃんに会いたいのに!

「特に用はないけど、会いたくなって!」

「ふぅん、そうか」

静ちゃんはちょっと照れ気味に俯いた。
え?ちょ、なにこれかわいい。萌える萌える!

「いきなりだけど、静ちゃん!俺の名前はなに?」

「は?臨也だろうが」

きゅうううううううん!
え、まじなにこれ。久しぶりに呼ばれたせいかもしれないけど、きゅんきゅんする。
え、死語だと知らないし。今の俺の気持ち現すのにはこれが一番合ってんだから!

「お前大丈夫か?」

静ちゃんが俺の顔の前で手をひらひらさせてるが、そんなの気にならない。破壊力やばすぎるだろ!

「じゃあじゃあ、嫌いの反対はなに?」

「好き。だから、さっきからお前大丈夫かよ?」

¨好き¨その言葉が頭の中でエコーがかかり、ずっと響いてる。好きってこんなドキドキする言葉なんだ。

「さっき言った言葉繋げて言ってみて」

「臨也、好き。………おい!手前何言わせんだよ!」

静ちゃんは怒るのと同時には赤く染まって、まるでタコみたいだ。

「いや、だってこう言うしか静ちゃん名前とか好きとか言ってくれない訳じゃん?だから、ね?」

「んだよ、そんな理由かよ。言えば何時だって呼んでやるし言ってやるよ」

照れ気味にそう言う静ちゃんは、そりゃかわいかった。
これが俗に言う¨シズデレ¨ってやつなんだよね。
こんなかわいい静ちゃんが見れれば世の中の女子はメロメロ(死語とか言わない)になるね。それはそれでムカつくけどさ。

「じゃあ、今ここで言ってよ」

ニコッと俺が笑えば静ちゃんは少し狼狽えて¨仕方ねぇな¨と呟いた。

「臨也、好きだ。愛してる」

なにこの破壊力。やばい、萌え禿げる。hshsするんですけど。つか、俺めっちゃ愛されてるじゃん。


それから二人きりの時は、好きだとか愛してるとか言うようになった。
俺の計画は見事成功したようだ。