カーディガン









10月も中旬になった頃、この前までの暑さが嘘のようにいきなりの寒さが訪れた。
今日はさすがにカーディガンを着ていこうと俺は決めた。
何色かある中からクリーム色を選びそれに腕を通して暖かさに思わず笑みが浮かんだ。
¨カーディガンらぶ!¨俺はそう叫びながらカバンを手に持ち家から飛び出した。
しばらく歩けばそこには新羅と静ちゃんの姿が。
俺の姿に気付いた新羅が挨拶をしてきた。

「おはよう、臨也。さすがにカーディガン着てきたか」

「おはよう。だって俺、寒いの嫌いだし」

¨確かそうだったね¨なんて新羅はクスクス笑っていた。
ふと、静ちゃんを見ればカーディガンを着てなくブレザーだけの姿が。

「え、ちょ?静ちゃん寒くないの?」

見てるこっちが寒くなる。人間と化物はやっぱり違うのかなんて考えてりゃ返事が返ってくる。

「さみぃよ」

「え?静ちゃんってバカなの?寒いならカーディガン着てくればいいじゃない」

「着てこようと思ったんだけどよ、サイズが小さくなってて入んなかった」

「去年のカーディガン着てる俺に対する嫌味?」

体型のたいして変わることのない俺(少しは伸びてるよ)に対して静ちゃんはどんどん大きくなるしまじムカつく。静ちゃんに見下ろされるとか屈辱なんですけど。
そんなこと考えてれば、指先にひやっとした感触が。
手に目線を合わせればそこには静ちゃんの手と俺の手が重なっているではないか。
思わず顔に熱が篭る。

「ちょ、なにすんの離してよ」

「いいだろ、減るもんじゃなしに」

「いや、俺の体温が減るから!」

俺の手からどんどん体温が奪われて静ちゃんの手が温かくなる。

「繋いでたら温かくなるだろ、ほら行くぞ」

そのまま手を牽かれ学校へ向かってく。
繋いでる間の顔なんて赤くないんだから!嬉しいとか思ってないから!









忘れられた新羅。
「リア充まじ爆発しろよ、僕だってセルティと手繋ぎたいよおおお!」

周りから変な目で見られたとさ。