君への想い








情事後の気だるい雰囲気の中、俺はシズちゃんに腕枕されている。
こういう時にしか甘えられない。
外で会えば喧嘩しかしないし、
仕方のないことだけどやっぱり寂しい気持ちもあって……


「どうした、臨也?」

「んー、なんでもない」


そういやシズちゃんは俺のどこが好きなんだろうか。
高校の時から喧嘩しかしてない気がするが、
俺はまぁ、一目惚れだよね
あんな綺麗な金髪で顔も整ってて喧嘩も強い(化物的に)、それはもう惚れちゃうでしょ
好きな子ほど苛めちゃうってやつで高校時代はとことん苛めちゃったけど

「シズちゃんはさ、俺のどこが好きなの?」

俺からの唐突な質問にシズちゃんは目を丸くした。

「いきなりどうした?」

「いやね、俺等って顔見合わせる度に喧嘩してたじゃん?それなのに今付き合えてるのが不思議で」

「確かにそうだな、なんでだろ」

「え、なにそれ!?そこは¨こういう所が好きだよ¨とか言うべきじゃないの?シズちゃん信じらんなーい。やっぱり俺との事はお遊びだったのねっ……ぐすっ」

俺はベッドから降りて、床にしゃがみこみ泣き真似をした。

………
…………、

あれ?シズちゃんからの反応がない。
ほんとに遊びだったの?
さすがにそれは堪えるよ。
泣き真似だったはずなのに、いつの間にか本物の涙が出ていて。

俯いて泣いていた俺の前に影が落とされ、自然と上を向けば怒りを露にしたシズちゃんがこっちを見ていた。


「おい、臨也!遊びなわけないだろっ!」

「……ほんとに?」

「遊びで男と付き合えるほど、暇なんかしてねぇ。お前だから付き合ってんだ。お前を好きな明確な理由なんてないんだよ、気付いたら目で追っかけてて気付いたら好きになってた。これじゃダメなのか?」

「……ダ、メじゃない」

シズちゃんの怒鳴り声にも似た大きな声のせいで涙は引っ込んでしまった。
シズちゃんの本音が聞けて、嬉しくて思わずにやぁとしてしまった。

「そんなに嬉しいなら、何度だって言ってやるよ。お前が好きだ、臨也。愛してる」

そんなこと滅多に言わないシズちゃんだから、俺の顔がボボボっと赤くなった。
俺だけこんな恥ずかしい思いするなんてずるい、シズちゃんにだって同じ思いをっ

「俺だってシズちゃんの事、好きだよ愛してるもんっ」

「そんなこと知ってる」

にやりと笑ったシズちゃんにまた顔が赤くなる。
もう悔しい!!!俺ばっかこんな思いしてーっ

「それより、そんな所にいたら風邪引くぞ。ベッド入れ」

パンツ一枚で床に座っていた俺はシズちゃんの言う通りベッドへ入った。
まだ夏だが、終わりのほうだしちょっと肌寒くなってきた。
ベッドに入ったらシズちゃんにぎゅーっとしがみついた。

「絶対シズちゃん離さないからねっ」

そう俺は言うと、泣いたせいなのか眠気が襲ってきてあっという間に寝てしまった。

「そんなに不安がらなくても俺はお前にベタ惚れなんだから」

そう言ったシズちゃんの声は寝ていた俺には届かなかった。