告 白








「シズちゃーん」

声のする方を向けば、あのムカつくノミ蟲野郎がこっちを見ていた。
¨シズちゃん¨なんて呼ぶのはあいつしかいないわけだから振り向く必要なんてないはずなのに癖のせいなのか思わず振り向いてしまった。

「おい、ノミ蟲。てめぇ池袋には来るなって言っただろうが」

そう言う俺を無視し、あいつはこっちに向かってくる。

「いやねぇ、こっちで仕事あったんだよ。それで帰ろうと思ったんだけどシズちゃん見えて話しかけちゃった」

奴は「てへっ★」とか言って首を傾げてる。
……かわい、いや何を考えてるんだ、断じて違うぞ
あいつの顔なんて見たくない、はずだ


「とりあえずさっさと帰れ、てめぇの顔見て最悪な気分だ」

「そっかそっかー、なら帰るねーばいばいシズちゃん」

あ、れ?
なんか変じゃないか?
いつもならここで言い訳がましいこと言って喧嘩になるはずなのに
今日の臨也はいつもと違う

「おい、手前どうしたんだよ。なんか変だぞ」

「うーん、好きな人にそんなこと言われたら嫌でもへこむよ」

「………は?」

思わず素っ頓狂な声が出てしまった
なんで今こいつの好きな人が出てきてんだよ

いつそんな話になったんだ

「手前やっぱ大丈夫か?なんで手前の好きな人の話になってんだよ」

「はぁ、ここまで鈍感だと呆れるを通り越して殺したくなるよね」

「はぁ!?んだと、手前ぇ!?」

「だから、俺が好きなのはシズちゃんなの。わかる?」

「………は?」

本日二度目の素っ頓狂な声が
今、俺は何を言われた……?
この大嫌いなノミ蟲が俺のことを好きだと?

「あはっ、シズちゃん顔真っ赤だ。かわいい〜」

「……っ、黙れ」

キッと奴を睨みつけそう言うと奴は俺に背を向けて駅の方へと走っていった


「おい!臨也!」

「じゃあね、シズちゃん。とりあえず、言いたい事は言えたしシズちゃんも意識してくれたみたいだから一歩進んだかな」


奴は意味不明な言葉を発し消えていった
これから俺はどうしたらいいんだ?
あいつから好きと言われて予想以上に喜んでいる自分がいて、
俺はあいつのこと好きなのか?
………ああああ!!!!
もうやめよ、頭おかしくなりそうだ

(なんでこんなにうれしいんだ?)