それは何気ない一言だったんだ。

『ぼく、瑞希くんのことが好きだよ』

言葉にした想いはすとんとぼくの中に落ち着いて。瑞希くんはぼくと同じ男性なのにその違和感すら感じず、むしろ納得してしまった。それ程ぼくは瑞希くんが。
ぼくのその言葉を聞いた瑞希くんは少し驚いたような表情を見せて、そしてしばらくしてからゆっくり口を開いた。

『…じゃあ、信じさせて』

その声は少し掠れていて、震えているように聞こえたような気がしたのは、本当か勘違いかもう分からない。その言葉をぼくの脳が理解した頃に瑞希くんがぼくに手を伸ばして、そしてぼくたちはキスをしたんだ。

「…る…みはる」
「、瑞希くん」

ぼくの鼓膜に響く大好きな甘い声に気付いて、無理やり意識を手繰り寄せる。その声は案の定瑞希くんで、ぼくの顔を心配そうに(もしかしたらぼくがそう思いたいだけかもしれないが)覗き込んでいる。

「大丈夫か?」
「うん、」

ぼくを気遣う言葉に口元が緩みそうになるのを必死に堪えて返事をした。

「じゃあぼーっとして、どうしたの」
「えっと…ぼくが瑞希くんに告白した時のこと思い出してたんだ」
「ああ…」

瑞希くんをふと見上げてみると、瑞希くんもあの時を思い出しているように少し遠くを見ていた。瑞希くんは中性的な顔立ちをしていて、それがとても綺麗で…いつも見とれてしまう。

「…本当にみはるは、俺から離れないよな」

降ってきた言葉を噛み締める。ぼくが瑞希くんから離れない、それは、

「瑞希くんが、信じさせてって言ったから」

だから、少しでもぼくの想いが伝わればいいと思って。そう続ければ瑞希くんはまたぼくを驚いたような表情で見た。ぼくが素直に気持ちを伝える度にする表情。驚いたような、疑うようなそれ。

「…みはる」

瑞希くんがまたぼくの名前を呼んだ。その度にぼくは嬉しくて、あたたかくて。そのまま瑞希くんがぼくを引き寄せるから、またキスかなって思ったんだけど。予想とは違って、ぼくは今瑞希くんの腕の中。

「…これからも俺のそばにいろよな」

瑞希くんの表情は見えないまま。瑞希くんの気持ちも…分からないまま。でもその言葉は、甘い束縛となってぼくに染み渡った。これからもずっと、ぼくは瑞希くんのそばに居るんだ。

「うん。ぼくは瑞希くんのそばにいるから」

瑞希くんの背中に手を回して力を入れる。それに応えるように瑞希くんの腕にも力が入った。両思いかどうかなんて分からない。もしかしたら、瑞希くんにとってぼくはただの都合のいい人形かもしれない。もしそうだとしたら…それでもいいと思えた。思って、しまった。ぼくはただ、瑞希くんのそばにいられればそれで良かった。それ以上を求めるなんて、怖くて出来ないから。
何も言わない瑞希くんに愛を伝え続ける。それが、瑞希くんのみはる。
永遠の哀言葉を。























▼後書き
スタイリッシュ土下座。
迷妄様のお花擬人化より、瑞希くんとみはるくんをお借りしました。
自分の無い文才で申し訳ないです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。





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