12
午前中から始めた勉強会は中々順調に進んでいる。少なくとも私は。
パラパラとノートを捲ってみる。予定していた問題が、ほぼ解き終わってる。
数学教えてくれるのが仁王先輩で良かったかもしれない。
説明が上手い。要点をまとめて、簡単に説明してくれるから理解するのも簡単だ。
教え方一つでこんなにも解ける様になるのかと驚くほどだ。
はー、と息を吐いてノートを閉じたら、ちょうど席を外していた真田先輩が戻ってきた。
問題でも発生したのか、なんだか困り顔。
「あー、腹減ったぜい。メシどーすんだよい、メシ!」
グウグウなるお腹を抱えた丸井先輩がぐるりと周りを見回して言う。
そういえば、お昼のことを考えてなかった。食べに行くのだろうか。
「そのことだがな、母が作ると張り切っていたんだが…」
「急に友人と昼食をとることになったから自分たちで作れ、か?」
「…蓮二の言うとおりだ。材料を多く買ってきたから、少しでも作って食べないと消費するのに困るらしい」
だから真田先輩は困り顔だったらしい。
ぐるっと見回してみるけど、料理が出来そうな人はいない。
困り顔になるのも仕方ないかもしれない。
「料理できる人いなそうですし、じゃあ私が作ります」
「え、楓料理出来るのかよい」
「まあ人並みには。人数が人数なので簡単なものになりますけど」
材料を見てみないと分からないけど、野菜炒めが一番無難そうだと考える。
流石に昼間から肉とか言われると困るが。
他にも何か作るべきだろうか。せいぜい卵焼きくらいしか思いつかないのだが。
「では浅見、頼む。材料や道具は好きに使って構わないらしい」
「分かりました。野菜炒めと卵焼きくらいでいいですかね?」
「ああ、構わない」
少しお昼には早めだけど、人数が多いから時間がかかることを考えてもう作り始めたほうがいいかもしれない。
早速真田先輩と台所に行って、道具や食器の場所を教えてもらう。
「すまないが頼む」
「精一杯頑張らせていただきます」
さて、まずは何から始めたものか。
[*prev] [next#]
TOP